年末のお約束ではありますが、今日と明日はこの1年を振り返ってみたいと思います。
2007年のIT業界がどういう1年だったかというと、コンテンツの著作権に振り回された1年ではなかったかと思うのです。1回目は、そういった観点からまとめてみたいと思います。
■YouTube・ニコニコ動画の成功が著作権者の脅威に
著作権との関係では、動画共有サービスの成功を抜きに語ることはできないでしょう。YouTubeやニコニコ動画が大成功した主要因に、過去のテレビ番組の映像を簡単に見られる、というのがあることは否定できません。ですが、これは、当然ながら著作権侵害 (具体的には、複製権や公衆送信権の侵害) に相当しますから、テレビ局などの権利者側が不満を表明するのは自然でしょう。
夏にはYouTubeと権利者団体の交渉がありましたが、権利者側がすべてのコンテンツの削除を要求するなど、双方の溝は深いようです (参考:たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeの違法コンテンツ問題、今後の展開を予測 (8/5)) 。YouTube側は著作権保護の仕組みを導入し (たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeの新ツールで著作権問題は解決するのか? (10/17)) 、JASRACとの合法化に向けた協議を開始しています (たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeとニコ動がJASRACと協議開始、合法化へ一歩 (10/30)) 。
YouTubeもニコニコ動画も、著作権侵害となるコンテンツの削除を継続していますが、すべてを削除するのはまず不可能。権利者側も、ネットへの配信は今後不可避となるものの、現状でゴーサインを出すことは危険すぎると判断するでしょうから、今後も難しい交渉が続くものと思われます。
■著作権法の改正は社会をどのように変えるか
もう一つの視点が、著作権法そのものの改正。保護期間を現行の50年から70年に延長する案 (たまご915のIT道中膝栗毛: 著作権保護期間は延長すべきか? (4/13)) と、違法サイトからのダウンロード (私的使用を目的とした複製) を違法とする案 (たまご915のIT道中膝栗毛: 違法サイトからのダウンロード違法化へ――未来は暗黒かバラ色か? (12/20)) が骨子となります。いずれも権利を強化する方向に進み、利用者側からは強い反発を招いているのは報道の通りです。
利用者側からは、MiAUが設立されるなど、対抗を強める動きが出てきています (たまご915のIT道中膝栗毛: 「MiAU」設立は消費者のためにならない (10/19)) 。ダウンロード違法化の問題が進行しており、設立を急ぐ理由はあったのですが、これから方針をどのように転換していくのか、注目されます。下手をするとMiAU自身の崩壊の危険性もはらんでいます。
これらの改正案が通ると、これまでの使い方で許されていた、あるいは黙認されていた部分が違法とされる場面が出てきます。現時点ではそれほど大きな影響はないと思いますが、新しい制度の中で、新たな著作権のあり方を模索する必要が出てくるのでしょう。
■今後望むこと
常に、権利者側は「すべての著作物を管理したい」、利用者側は「すべての著作物を自由に使いたい」という立場であり、この溝は簡単に埋まる問題ではありません。利用者側には、権利を強化することで、かえって文化の発展を妨げるという主張もありますが、かといって自由な利用を完全に認めてしまうと、海賊版が蔓延する諸外国のような状況に陥ることは明白です。
当然、解決は簡単ではありませんが、たとえば権利を強化する代わりに、すべての著作物をネット上で入手できる環境を整える義務を課するなど、利用者の便益を図る必要もあるかと思います。
権利者はもちろん、利用者の側も、著作物による文化の発展について、どのような手段が望ましいか、考えていくことになりそうです。自分たちの要望をぶつけるだけではなく、少し古い表現になりますが「Win-Win」の関係を築くために何をしなければならないのか、2008年には結論が出るとうれしいのですが。
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