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オープンソース・フリーソフトウェア

2009年7月10日 (金)

「ヴァンガードプリンセス」は対価を取るべきだ

格闘ゲームは全くセンスがないのですが、デモ動画を見ているだけでも、アーケードゲームに遜色ないできなのはわかりますね。これがフリーウェアだとは……。

これだけのクオリティのもの、それも1人で3年かけて、最後の半年は連日16時間以上を開発に費やしたというプログラムです。私はあえて、このゲームには適切な対価を取るべきだと主張させてもらいます。

その理由として、ひとつは、自分がソフトウェア開発者だというのもあり、批判を恐れずにいうと、開発者の労働に対する適切な評価や対価が損なわれてしまうということがあります。ざっくりいうと、いくらすばらしいシステムやプログラムを作ったとしても、無償で公開されることが前提になってしまうと、その評価がお金にならず、開発者が薄給での労働を余儀なくされる原因にもなります。

おそらくオープンソースに喧嘩を売ることになってしまうと思うのですが、ソフトウェア開発をビジネスとするのであれば、ビジネスとして成り立つようにしてもらいたいし、ビジネスとしないのであれば、それはもはや「ソフトウェア開発者不要論」という形になってしまうだろうと思われます。

……ちょっと話がそれすぎました。要は、ソフトウェアの価格破壊が、開発者の労働環境を悪化させているという主張です。

そしてもう1点は、3年という開発期間、土日なしの1日16時間の作業を、このプログラムの開発者自身がどのように考えているのか、というところです。これだけの期間、フルタイムで働いていれば、1000万円以上の給料はもらえるはず。時間だけでいえばそれだけの労働力に相当するものを使っているわけですし、もちろん完成度も十分に高いわけですから、成果物にもっと価値を認めてもいいと思うし、むしろ価値を認めてほしかったです。

ソフトウェアやコンテンツ、その他サービス全般、いわゆる無体物が、価値を軽視される傾向にあります。その傾向は打破されるべきものだし、そのためには私たち作り手が質の高いものを提供し続け、そして提供したものに正当な価値を主張する必要があるだろうと思っています。

2009年4月 3日 (金)

Wikia Searchが3月でサービス終了

コンテンツサービスはコンテンツの量がサービスの質を規定するので、どうしても寡占状態にならざるを得ません。ウィキアサーチはコンテンツの確保に失敗し、ウィキペディアは成功した、ただそれだけ。

オープンソースかどうか、ということは、開発者が考えるほどサービス利用者は気にしていない。使いやすいかどうかだけで、オープンだろうとプロプラだろうと、使う人は自分が使えるように直してくれればそれでいいのだから。オープンソースなら自分でソースを修正できるといっても、実際にそうする人はごくわずかですし、オープンソースであることの利点は、ほとんど生かされていないように思います。

さて、検索サービスにおいては、入力された検索ワードに対して適切なサイトの情報を返すことが求められます。そのためには結果となり得るサイトを数多く持っていることと、適切な解を返すプログラムが作られていること。オープンソースで後者は改善できるものの、前者は困難なのではないでしょうか。そして、前者の部分で、ウィキアサーチはグーグルやヤフーに全く歯が立たなかった。それが敗因なのだろうと思われます。

逆に、オンライン百科事典の分野では、ウィキペディア (正確にはウィキアのサービスではありませんが) は競合サービスを凌駕し、エンカルタをサービス終了に追い込みました (たまご915のIT道中膝栗毛: MSN Encarta、年内で終了、データはWikipediaに移行?) 。それはやはり、コンテンツの量によるところが大きかったのでしょう。

今後も、コンテンツの量がサービスを規定し、ネットサービスがあらゆる分野で寡占が進む傾向は止まらないと思います。その中で健全な競争を行うには、市場経済に任せるのでは不十分で、何らかの市場操作が必要なのかもしれませんが、それがあるべき姿かどうか……。

2008年12月 6日 (土)

フリーソフトウェアは有償ソフトより割高なのか

自分自身、ソフトウェアにお金を払ってもらうことで生活している身なので、有償ソフトが否定されるなら仕事を変えざるをえないという部分はあります。その前提で。

マイクロソフトの企業宣伝である部分は否定しない。でも、MS OfficeをOpenOffice.org (OOo) に切り替えたところ、予想していたほどのコスト削減効果が出なかったというところもあるだろうと思います。

フリーソフトウェアとプロプライエタリのソフトとは、依って立つところが根本的に違います。つまり、フリーソフトは「開発者」に最大限の自由を与え、誰かがその権利を主張することを認めないもの、それに対してプロプラは「顧客」に最大限の利便を与えるために開発されるし、お金も取る、という違いです。こういう言い方は適切さを欠くかもしれませんが、フリーソフトを単に実行し、自分の望む使い方ができない (わからない) と批判するだけの人間は、フリーソフトの利用者とは見なされていないのではないでしょうか。

近年は状況が変わり、FirefoxやOOoなど、多くの利用者を持つ無償のソフトも現れ、利用者の声にも耳を傾けるようになってきました。ユーザーサポートも行われるようになってきましたし、競合企業であるマイクロソフトにとっては驚異として見なされているのが、今回の主張の根底にあると思います。

フリーソフト陣営も、業務で使わせるようなソリューションを提案し、法人顧客の獲得に本腰を入れれば、また新たな展開が見込めそうです。いまならSaaSに代表されるウェブアプリもありますし、こういうものと組み合わせる提案があれば、おもしろいんじゃないでしょうかねえ。

2008年11月 5日 (水)

GFDL 1.3リリース、Creative Commonsへの移行も

GFDLを採用しているウィキペディアが、クリエイティブ・コモンズ (CC) に移行できる可能性が出てきました。使い勝手はよくなるかも。

GFDLにしてもCCにしても、共同作業で文書を作成するときの「著作権」の扱いを期待するのが主眼ですが、CCのほうが扱いやすくできているとのことです。両者の違いがまとまったページがあればありがたいのですが、比較に徹したページは見つけられませんでした。

GFDLを採用している最大のサービスはウィキペディアですが、これですぐにウィキペディアがCCに移行するというわけでもないようです。まず、移行するかどうかをコミュニティの判断にゆだね、移行するとなったときにその手続きを議論するという流れになりそうです。期限が切られているものの、かなりの時間を要するように思われます。

自分は日本語版のウィキペディアしか知らないのですが、根幹であるライセンスを変更するのは、かなり骨が折れるような気がします。ルールやガイドラインを金科玉条のように振り回す人が少なくなく、ウィキペディアの本分である、記事の充実とは違う方向 (つまり、自分が好む「秩序」) を志向する人もいると思われます。そういう中での根幹の変更ですから、なんだかんだと難癖を付けて現状を守ろうとする人が多く出るのではないでしょうか。

じっさい、日本語版ウィキペディアのGFDLの解釈は厳密に過ぎるように思われますので、CCに移行することで、もう少し気楽にコンテンツを取り扱えるようにならないかと、そういう期待はありますね。

2008年10月14日 (火)

OpenOffice.org 3.0が正式リリース

競合製品の開発元に在籍していますので、気にならないといえば嘘になります。JUST SuiteはOpenOffice.org (OOo) とシェアを争うべきなのか、それとも……。

デファクト・スタンダードとしてのMicrosoft Officeがあり、OOoを含めた他のオフィススイートはMS Officeとの互換性を高めることが重要な戦略となっています。今回のOOo 3.0も互換性が注目され、Office 2007形式の*.docxなどが読み書きできることが大きな特徴となっていますね。

今回は注目度が高く、アクセスが集中したためにサーバーが一時ダウンする事態に至ってしまいました。ダウン自体は失態ですが、これによってOOoがさらに注目されることになったわけで、MS Office代替ソフトの最有力候補はOOoであることは、ライバル製品を作っている自分も認めざるを得ないのかもしれません。個人的な見解ですが。

ひるがえって、JUST Suiteはどうなのか。会社としての方針もあるし、自分が思うところもある。その内容を今ここで明かすことはできませんが、このままMS Office代替のパッケージを作り続けるべきなのか、一開発者として考えているのは事実です。従来の方針を貫くにせよ、転換するにせよ、難しい判断が迫られるだろうことは、間違いなさそうです。

2008年9月24日 (水)

Androidを搭載した携帯電話「T-Mobile G1」

何がすごいのか、いまいちよくわかっていませんが、大きく取り上げられているので。携帯電話については、自分も勉強しないといけないですね。

Android自体、名前は聞いていたものの、何なのかは知らずにいましたので、少し調べてみました。元々の開発はアンドロイド社ですが、同社をグーグルが買収しているため、グーグルの技術ということになります。Linux上で動く携帯電話向けのプラットフォームで、オープンソースで提供されます。

「T-Mobile G1」についてはまだよく見ていませんが、技術的に新しい部分は多くなく、Androidを搭載した最初の端末であることで注目されているようです。Android自体も、技術的に優れているかどうかではなく、オープンソースであることで注目されているので、製品そのもののポテンシャルは未知数だといわざるを得ないでしょう。

ひとつ特筆できることがあるとすれば、グーグルの各種サービスとの連携が強く取られていること。Android Marketという、アプリケーションを有償で購入、導入する仕組みが備わっており、そのほかにもブラウザ (Chromeのようです) と検索エンジン、GmailやYouTubeなど、携帯電話で使える自社サービスが満載のようです。

さて、どうしても話題先行の感がぬぐえず、しかもiPhoneが期待ほどうまくいっているわけではないという現状、どこまで売れ行きを伸ばすか、今後の報道を待ちたいと思います。

2008年7月 3日 (木)

Firefox 3、800万ダウンロードでギネス認定

報告の電子メールには、「8,002,530,000,000 回」と来ていました。8兆25億3000万回です (爆) 。

他の人もツッコミを入れているので、みんなのところに同じものが来ているようです。それにしても一番大事なところで、ゼロ6個も間違うなよ……。

本当に8兆回だったら大変なことに (笑) 。いちおう、各ニュースサイトの記述のほうが誤りではないかと確認しましたが、世界の人口が66億人を超えたくらいだから、全人類が1人1000回ダウンロードしても、まだ足りない。明らかにおかしな数字ですね。

800万回というのも、1人が1回しかダウンロードしなかったとして、全人類の800人に1人がダウンロードした計算になるわけですから、大変な数字。ちなみに現在は2800万件を超えたということですから、25人に1人がダウンロードした計算になります。もちろん、1人で何回もダウンロードした人がいるでしょうけど。

ほかの数え方でいうと、1秒間に92回のダウンロードがあり、よくこれだけのリクエストに耐えたものだといえます。ちなみに2ちゃんねるの同一スレッドに1秒間に92回の書き込みがあると、11秒後にレスが1000を越えてしまいます。

これで十分とはいわないまでも、一定のシェアを取れるくらいに行き渡ったし、何よりも話題作りには成功しました。2008年6月現在もIEは (6と7の合算で) 4分の3弱のシェアを確保していますが、Firefoxも全バージョンで20パーセント近くまで伸びて来ています。次にFirefoxがニュースになるのは、シェアでIEを追い抜いたときかもしれませんね。

2008年6月18日 (水)

15年間で「Wine 1.0」は評価が変わるのか

宣伝になるかもしれませんが、「一太郎 for Linux」もWineを使って開発していたはずです。いよいよ正式公開ですが……。

ただ、時間をかけすぎた、という印象もあります。その理由を3つ挙げておきます。

ひとつはデスクトップLinuxが、それほど成果を上げられていないこと。2008年1月のデータで、0.67パーセント (150台に1台) の世界シェアにとどまっているため、ごく一部の先駆的な人々が使っているに過ぎない状況にあることです。これは、Linux陣営にとっても思惑が外れた部分なのではないでしょうか。

ふたつめは、シェアが伸びないにもかかわらず、必要なアプリケーションは一通りそろいつつあること。ブラウザやメールソフトはもちろん、オフィスソフトもOpenOffice.org登場しており、Windowsアプリをどうしても必要とする場面が少なくなってきたように思われます。

そして3点目、これが重要なのですが、デスクトップアプリケーション、あるいはパッケージソフトウェアという分野が、今後先細りになるのが目に見えていることです。つまり、ウェブアプリにどんどん移行していくわけですから、それに反比例してWineの存在価値が低下していくことになってしまいます。

オープンソースですので、シェアや売り上げを気にする必要はそれほどないのかもしれませんが、それでもやはりユーザーの支持は重要でしょう。何であれ、技術の発展は歓迎すべきものだと思いますので、広く受け入れられずに開発が中断、そのまま忘れ去られてしまうようなことがないことを望みます。

2008年6月16日 (月)

Firefox 3「Download Day」は米国時間6月17日

♪も~うい~くつ寝~る~と ダ~ウンロ~ド・デイ~(笑)

1ユーザーとして、このブログでも告知させてください。

先日もこのブログで紹介したのですが (たまご915のIT道中膝栗毛: Firefox 3「Download Day」でギネス記録を狙う) 、いよいよあと30時間ほどに迫ってきました。自分はブラウザマニアで、いくつものブラウザを乗り換えており、このPCの中にもFirefoxとIEのほか、OperaとNetscape9、それからSeaMonkeyがいます。メインはFirefoxなのですが、IEでしか見られないサイトは残っていますし、Operaはリンクされた画像を1つずつスライドショー的に見る機能があるので、(ここ自粛) の閲覧でお世話になっています。

日本時間では6月18日早朝。当日のサーバの負荷が気になるところですが、楽しみにしたいと思います。すでに130万人以上の登録があり、ダウンロード数ではこれ以上の数字をたたき出すものと期待します。

Firefox2に対応していたアドオンやツールバーなどの拡張には、3では使えないものが多いのですが、これも正式公開されれば順次対応版が出てくるでしょう。ほぼ唯一と言っていいくらい、使い勝手に難を感じていたのが拡張の部分なので、ここが解決されれば不満はなくなりそうです。

2008年6月 2日 (月)

Firefox 3「Download Day」でギネス記録を狙う

まあ、話題作りではあるのでしょうけど。ところでいくつダウンロードされたら世界記録なのでしょうか。

すでに登録受け付けは始まっていて、国ごとの登録者数を地図で表示しています。ただ、地図で各国を色分けすると領土問題のあるところでもめるわけで、日本だと北方領土がどうとか、竹島がどうとか、なぜか対馬が韓国領扱いにされていたりとか、無駄に問題を作っているよなあと思いますね。

今月中に正式リリースが始まるので、早い目に登録しておくのがよしかと思います。とはいえ、こういうイベントがあると、アクセスが集中するのは目に見えていますから、モジラ側がどれだけサーバを増強しているかが気になりますね。ダウンロード開始後いきなりサーバが落ちてしまったら、しゃれにもなりませんから。

Firefox 3ですが、ベータ版くらいから使い始めていて、いまもRC版を使っています。拡張がなかなか追いついてくれないのですが、表示能力や速度はかなり高くなっていて、使い勝手という部分ではいちばん手になじむブラウザとなっています。IEでしか見られないサイトもあるので、一部は併用することになりますが、基本はFx3です。はやく正式版が公開されないかな。

2008年6月 1日 (日)

会津若松市が全庁でOpenOffice.orgを採用、アシストがサポート

5年間で1500万円のコスト削減を見込んでいるようですが、環境を変えるのは思った以上にコストがかかりますから、見込み通りに行くかどうか。

試算の内容はわかりませんが、Microsoft Officeのライセンス料が5年で1500万円ということであれば、甘いだろうとは思います。もっとも、850台のPCが対象ということですので、1台1年あたりにならせば3500円ですから、さすがにその他のコストは見込んでいそうです。

先日の住友電工のときにも書きましたが (たまご915のIT道中膝栗毛: 住友電工がOpenOffice.orgを全社採用) 、導入自体は問題がないはず。自治体レベルでも、世界的に見ればLinuxを採用しているところもあるので (ドイツのミュンヘンなど) 、官公庁の業務でもオープンソースを使うことの実績もあるわけです。

そして、利用習熟のためにアシスト社がサポート (「アシストがアシスト」と見出しに書こうとしたが、さすがに意味不明すぎるのでやめました) 。13年前に私が就職活動をしていたときには、アシスト社もジャストシステム (就職先) と同じくパッケージソフトを作っていたところだったのが、今は法人向けソリューションに転換しているようです。失礼ながら消えたのかと思っていましたが、むしろ正しい軌道修正なのかもしれません。

2008年5月15日 (木)

住友電工がOpenOffice.orgを全社採用

ちなみに、自分の勤め先もMicrosoft Officeを使っていません。勤め先でJUST Suiteを開発しているのだから、当たり前ですが (笑) 。

MS Officeなしで業務が成り立つのか、という疑問はあると思います。ですが社内に閉じた業務である限り、自分の経験上とくに問題はありません。代替の製品――自分の場合は一太郎であり、JUST Suiteですが、OOoでも同じでしょう――で、十分に業務が進められます。

切り替えがうまくいくかどうか未知数ですが、MS Officeの代替製品が使える実績を積み上げることで、選択肢が増えるのは望ましいことだと思います。それは自分の仕事に直結するからでもあるのですが、競争が成立することで技術の発展が加速されるからです。

そういう意味で切り替えがうまくいってほしいのですが、サポートがなかったりMS Officeとの互換性が不十分だったり、いろいろ問題は出そうなので不安はあります。やってみないとわからない部分はありますが、ある程度の問題は想定した上で、解決方法を考えながら運用を進めてほしいですね。それが、他社でもMS Officeから切り替えられる事例になるわけですから。

2008年5月 9日 (金)

JavaOne 2008で起こっていること

Java関連の業務に就いていたのが4~5年前くらいまでなので、JDK 1.3~1.4くらいの、古いJavaしかわからないのですが、その頃から比べてかなり状況が変わっているようです。

JavaFXの話題が出てきています。自分はキャッチアップできていないのですが、インターネット上でJavaを使ったリッチコンテンツを実現するための技術となります。WindowsでもLinuxでも、あるいは携帯電話上でも同じプログラムが動き、環境を選ばずに動作するスクリプトが書け、しかも高度なUIを実現できるというものです。

インターネット上のプログラムを、サーバを意識しないで実行できるクラウドコンピューティングや、他のサービスで公開されている情報を結びつけるマッシュアップなども、JavaFXの環境で実現でき、今年秋には最初のバージョンが公開されるようです。

リンクで示した最後の、@ITの記事が気になります。サンはオープンソース陣営でもあるので、「ソフトウェアは無償であるべし」という立場になるのは頷けますが、無償のソフトと有償のソリューションの組み合わせというのは、少なくとも日本ではなかなかうまくいかないように思います。

無形物やサービス、あるいは利用権への対価という概念に乏しいので、ソリューションにお金を払うことがどこまで理解されるか、微妙だと思いました。法人顧客であっても、ソリューションの対価は購入したソフトウェアとサポートの料金だと思っている部分もあるのではないでしょうか。そうであれば、フリーソフトウェアだけで構成されたソリューションに、いくら支払えるというのでしょうか。

個人顧客、いわゆるコンシューマ市場については、もっと壊滅的。大型家電店やPCショップのソフトウェア売り場はどんどん縮小しており、もはやソフトウェアは買うものではなく、無償提供されているものを使う時代になったといえます。パッケージソフトウェアで飯を食っている自分としては、新しい働き口を探さないといけなくなるかもしれず、非常に怖い話なのですが、これが現実のようです。

まあ、そうなったときのことは考えていますし、そうなったらそうなったでどうにかなるのだろうと思いますが……。

2008年4月 4日 (金)

OpenOffice.orgが普及するためには

競合製品の開発元に勤めているので、仕事の面ではOOoが普及するのは困るかも。でも利用者の視点で、普及の障害となっているのが何か考えてみます。

OpenOffice.org 2.4は、4月3日に日本語版がリリースされています。

元となる英語版は、米国時間で3月27日にリリース。

普及しない理由は簡単で、*.docや*.xlsがワープロや表計算ソフトのデータファイルとしての標準形式になっており、これらを正しく作れるソフトがMicrosoft Officeである、ということでしょう。競合製品がいくら互換性を高めても、競合製品は競合製品であってMS Officeにはなれない、という現実があります。MSと競合他社とは、スタートラインがすでに違うんですよね。一昔前は、紙に印刷された結果が同じならどの製品でもいい、という考え方もあったのですが、今はデータファイルでやりとりすることがほとんどですから、どの製品で作ったかというのが大事になっちゃったんですよね。

OOoはMSと比較して、価格では絶対に勝っているのですが、価格以外のメリットが説明できていないように思います。「オープンソースだから」という哲学は、プログラミングに詳しくないユーザーには全く理解されませんし、MSをけなしたところでOOoの株が上がるわけでもない。むしろ、怪しげな主義主張や宗教的なものにとらわれた団体として、敬遠されるリスクさえあります。そのあたり、OOoの中の人が理解できていないようにも思われます。

同じオープンソースでも、Firefoxは一定の成功を収めていますが、トップシェアであるIEとの機能的な差異・メリットを提示できた成果だと考えています。OOoがMS Officeに対して優れている点は、機能面で何があるのでしょうか。「ないだろう」と書いてしまうと、コメントで突っ込まれるだろうと思いますが、あるのならなぜそれを大々的にいわないのか。ja: OpenOffice.org日本語プロジェクトOpenOffice.org Wikiに、なぜわかりやすい解説を載せないのか。あるいは各種ニュースメディアを使うなどして、大々的に広報しないのか。利用者の範囲を、ごく一部の愛好者だけに閉じておくのはもったいないので、もっと使ってもらおうとする動きを見せていいと思います。

……まあもっとも、自分は競合製品の開発元の人間なので、「松井幹彦の「Officeソフト」ウォッチング » 一太郎はなぜWordに負けたのか(1)」のほうが気になるわけですが (苦笑) 。

2008年3月24日 (月)

MicrosoftがEclipse財団と協力、オープンソースの将来はどうなる?

マイクロソフトのJava戦略は、独自拡張で自社ツールを作って総スカンを食ったイメージしかなかったのですが、時代が変わると戦略もひっくり返ってしまうんですね。

私が就職してすぐの1996年、Java (当時は1.0が出たばかりでした) の可能性を調査するためのプロジェクトチームに入り、そのチームでVisual J++も使ってみました。Javaは最初から標準化されたオープンな言語で、たとえMSといえども独自拡張は嫌われ、結局は主流になり得なかったという印象があります。数年前からVisual J#に置き換わっていますが、状況はそれほど変わっていないように思います。

Eclipseも、初期のバージョンではありますが、別のJavaプロジェクトで使いました。そのチームとは短い期間で離れたので、使い込むには至りませんでしたが、慣れれば十分に使えるツールだったのかもしれません。ただ、自分にはちょっと取っつきにくい感がありました。

この2団体が協力します。方向としてはMSがオープンソース化される方向ではなく、MS製品上でオープンソース製品を正しく動かそうとする方向です。これでオープンソースがMSの傘下になるわけではないでしょうけど、アンチMSのオープンソース信奉者がいるなら複雑な気分にならざるを得ないでしょうね。

MSがプロプライエタリーの代表的な会社であることを否定する人はいないと思います。そしてEclipseがオープンソースの代表的なプロジェクトの一つであることも、また事実。両者が協力できるということは、プロプライエタリーとオープンソースは対になる概念ではあるものの、敵でもなければ相容れないものでもない、ということでしょう。どちらかがどちらかに食われるという問題ではなく、共存共栄できる道を模索できるものだと思います。

自分もプロプライエタリーなソフトウェアを開発する立場にいるので、プロプラが悪だという感覚にはなれません。かといってオープンソースを敵視するわけでも無視するわけでもなく、オープンソースという考え方を認めた上で、プロプラにも利点はあるのだと考えています。利点のすべてを答えられるわけではありませんが、少なくとも利点の一つは、自分が給料をもらえる程度には、プロプライエタリーのソフトウェアは売り物になっている、ということでしょうか (ん、何か変かな……?) 。

2007年10月23日 (火)

Red Hat重役「プロプライエタリはもはや持続不可能」

これはいいFUDですね (笑) 。まさしくFear (不安を煽って) 、Uncertain (不確実を断じて) 、Doubt (疑わせる) 。

この主張は、いくら何でもあり得ないでしょう。もしプロプライエタリが生き残れなくなったとしたら、すでにRed Hatも生き残っていないはず。そのときには、オープンソースだから、プロプライエタリだから、という区別はすでになく、ソフトウェアという概念自体が崩壊しているでしょう。

オープンソース (というよりも、フリーソフト) が注目されているのは、その思想が受け入れられているというより、単に安いからだと思われます。少なくとも日本ではコストの優位性が前面に出ていて、オープンソースに貢献しようという人はごく少数、大多数は無料だから使ってみようという感覚でしょう。ブランドが見えないのでプロプライエタリより低位に扱われ、サポートには期待されず、結局はその製品を使いこなすことができるマニア向けにとどまっています。

このコメントを発したMichael Tiemann氏は、Red HatとWindowsのシェアの差について、どのように考えているのか。マイクロソフトと同じだけの開発工数と営業費用を投ずれば、シェアで並ぶことができるのか。オープンソースで、それだけの工数と費用を投じることが可能なのか。是非とも伺いたいものです。

結局、オープンソースにはビジネスモデルが成立せず、開発者すら養えないというのが実情でしょう。いくら品質の高いものが開発できたとしても、それを売る仕組みはオープンソースでは解決できませんから。開発者には自前では持たないとしても、ものを売るための営業担当者まで、有志に頼るのは考えられないと思います。

そのあたりを鑑みると、「オープンソースのほうが (ビジネスとして) 持続可能な状態にあったことがない」というほうがまだ正しいのではないでしょうか。

2007年7月 2日 (月)

GPLv3が正式にリリースされ、FSFはiPhoneを批判

一連の議論を見ていると、フリーソフトウェア財団 (FSF) が「イタイ人」に見えてきました……。

フリーソフトウェアの考え方は、もっと大らかなものだと思っていたのですが、フリーソフトウェアを「自由」に使うための「制限」が異常に厳しくなっているように感じられます。

FSFの最初の矛先はアップルに向かっています。アップルはMacOSなど、フリーソフトウェアを使った製品を作っており、同日 (6月29日) に発表されたiPhoneもフリーソフトウェアを組み込んだ製品となっているといわれています。FSFの主張では、iPhoneに組み込まれたソフトをアップデートすることが、アップルだけにしかできないのであれば、iPhoneでGPLv3のソフトを配布できないということです。

自分がプロプラの世界にいることもあるのですが、GPLは危険なライセンスだという認識です。というのも、GPLとプロプラは基本的に共存できず、プロプラのコードとGPLのコードが混在した場合、プログラム全体がGPLの求めに従ってコードを公開する義務が生じます。そして今回の改正では、GPLのコードを利用したプログラムを、独占的に改修する権利は作者にさえ与えられない、となっています。乱暴な言い方になりますが、GPLのコードを書いた作者は、工数のみ提供し、いかなる見返りも与えられないようになっています。

開発者の視点でいうと、GPLを選ぶ権利も選ばない権利もあるし、両者は同等に尊重されなければならないと考えています。FSFの中の人は、すべてのプログラムがGPLとなることを理想としているのかもしれませんが、そうであれば片方の権利を無視する形になっています。現時点で間違いなくいえることは、GPLが他のライセンスを侵略する権利はないにもかかわらず、FSFは侵略を試みている、ということでしょう。