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著作権

2009年10月12日 (月)

Winny開発者、二審は逆転無罪

著作権侵害の幇助で、開発者を罪に問うのは難しいと思う。ただ、だからといって著作権侵害自体が合法化されたわけではなく、著作権ビジネスのあり方を問い直すのは別の議論として扱わなければならないでしょう。

ひととおりの記事は出そろっていますが、数が多いので、いくつかをピックアップしています。

著作権ビジネスのありかたに疑問を持つ人は少なくないだろうと思います。作品を作るアーティスト(著作権者)がいて、利用する私たちがいるだけの関係のはずが、中間にいる権利団体が莫大な利益を得ている。でも中間の団体を排除したら、作品を提供する場も一緒に失われてしまう。そういうジレンマがあると思われます。

P2Pソフトが「場」を作るのに貢献できるかもしれませんが、そのあたりの議論は全く進んでいるように思えません。議論することで罪に問われることはありえないので、今回の裁判が理由にはなりませんし、全体的に足並みがそろえられないか、少なくとも腰がひけてしまっているように思います。

また、マスメディアはP2Pソフトの利用が違法になる範囲を明確にする必要性を説いていますが、意味のある議論になるとは思えません。今回の判決にあるように、合法な使い方がほぼ想定されないのであれば違法としてよいでしょうが、あとは開発者のイノベーションに任せてほしい。

メディアも著作物で仕事をしているわけですから、自分たちの足下が崩れるような不安を抱いているのかもしれませんが、こんなことでメディアはつぶれないでしょう。ただちょっと、仕事の仕方は変わるかもしれませんが。

そして、利用者である私たちにとっては、状況は何も変わっていません。P2Pソフトの利用自体はこれまでもこれからも適法ですし、著作権の侵害行為はこれからもやはり違法です。今回の判決で警察やメディアの鼻をあかせたとか、我々の勝利だとか息巻くようなことは、事態を何も改善させないでしょう。

2009年7月31日 (金)

日本レコード協会 (RIAJ) 、違法着うたに苦慮

ここでの問題は楽曲ですし、著作権法改正にも関わってくるわけですが、もっと広く「コンテンツの価値」という観点で考えると、別の世界が見えてくるように思います。

違法コンテンツをダウンロードしているユーザーは、若い世代に偏っています。これは罪悪感を持っていないからではなく、単純にお金がないので、無料で入手できる手段に流れてしまう部分が大きいのだろうと思います。

権利者団体側、利用者側、それぞれの言い分はあるだろうと思います。ですが問題がコンテンツの「権利」にフォーカスされてしまっていて、本質であるべきコンテンツの「価値」のほうには、なかなか議論が進まないようです。権利者も利用者も、「コンテンツの価値」をどのように考えているのでしょうか。

実際、テレビや店舗の有線放送から流れてくる楽曲を私たちは無料で聞けるわけで、自分の意思で聴きたい楽曲を選べないところを除けば、楽曲の価値などないも同然でしょう。同様に、新聞記事はネット経由で無料で得られますし、地上波のテレビ番組はテレビのチャンネルを合わせればやはり無料で見られるわけです (NHKは受信料を徴収していますが) 。それが当たり前になっているから、「著作物を利用するのなら、それ相応の対価をお願いします」といわれても、はあ? ということになってしまうのではないでしょうか。

それでもまだ、歌手は自分の歌の価値を知ることができます。人気歌手なら大きな会場でライブを開けば、それなりのお金を取っても客は集まりますし、そうでない歌手もストリートライブで自分たちの歌を聴いてもらい、聴き手から直接お金を受け取ることもできるでしょう。ストリートライブは、楽曲の「権利」ではなく「価値」を知る手段として、機能しています。

それと比較して、新聞やテレビ、さらにはネットのコンテンツビジネスはどうか。新聞は印刷物の形では対価を取る仕組みがあるものの、新聞以外はコンテンツそのものの対価を取るビジネスモデルが、そもそも成立していません。必然的に、広告スポンサーに頼らざるを得ないのですが、広告モデルはそれほど安定したものではないと思いますし。

だからといって有効な提案はないのですが。たとえば、利用者がISPを経由してコンテンツプロバイダにアクセスするわけですから、コンテンツプロバイダ側はISPから料金を取るような仕組みが存在していれば、世界も変わっただろうと思うのですが。

2009年6月15日 (月)

改正著作権法が成立、ネットへの影響は

今回の改正は、ネット社会に追いつけなくなった法律のほうを運用に合わせる形となり、私たち一般利用者にとっても納得できるものではないかと思います。

よく話題になるのが、ダウンロード違法化問題。違法「着うた」対策ではあるのですが、すべての著作物が対象となるため、日常生活を送っているだけで違法行為を起こしてしまうのではないか、という懸念が広がっています。つまり、他者の著作物を利用する際、それが違法なものである可能性が多少でも残っている限り、利用行為そのものが違法になりうるという論法です。

法律上でも「情を知って」、つまり違法なコンテンツであることがわかっていてのダウンロードに限られるため、実際に違法である場面はかなり限定的。それでも、自由を制限する権力への不信と、児童ポルノの単純所持を違法とする議論が混じって、不安や誤解が残ったと思われます。

自分はソフトウェア開発会社に勤務し、著作権に守られて生計を立てているわけですが、その立場から見ると多くの方が著作権について余りにも無頓着であることに驚かされます。よくある例として、ネットに掲載された他人の文章 (メディアの記事など) を、掲示板やブログに全文複製してしれっとしている。著作権を侵害している可能性について、露ほども考えていないのだろうと思います。文化庁の中の人も、法律改正も大事なのですが、啓蒙をしっかりしてほしいところです。

2009年5月11日 (月)

パナと東芝、デジタル放送用DVDレコーダーに補償金を上乗せせず

解説するだけでも難しい問題。何がどうあるべきか、あまり短絡的な主張もどうかと思いますし、かといって現状追認も何かイヤだし。

「私的録画補償金」というものがあります。著作権法で、私的使用のための著作物の複製が認められているのですが、テレビ番組についてはその録画装置 (要するにビデオデッキ) に補償金がかけられ、著作者に分配される仕組みになっています。デジタル放送でもこの図式は変わらないはずなのですが、コピーワンスやダビング10など、認められているはずの複製に制限が加わっており (これをかいくぐって複製するのは違法) 、補償金との整合性が疑問視されています。

補償金の問題については、家電メーカーと著作権管理団体が議論を重ねていますが、まだ結論は出ておらず、今回のような動きとなった模様。家電メーカーは自社製品のコストを抑えたい、管理団体は補償金は必要ということで、折り合いがつかなさそうです。

よく指摘されることですが、視聴者と著作権者が、この議論から外れてしまっています。そこにこの問題の根本的な原因があるのかもしれません。つまり、本来は文化の発展のために定められた著作権が、その主要なプレイヤーを欠いたまま、お金の問題として扱われていることで、問題の本質が見えなくなっているということです。

お金の問題で文化の発展が停滞しては困る。かといって、進んでお金を払おうという視聴者がどれだけいるか。タダで見られるならそうする、という人が大多数ではないか。もちろんお金の問題を切り離して論じるわけにも行かず、何がどうあるべきかは非常に難しい問題といわざるをえません。

著作権者――我々もその仲間に入るのですが――が、作品を世に提供し続けるモチベーションを維持できればよいのですが、それがどういった方法であるべきか。現状がよいとは思えないものの、現状より良い方法があるかというと、ないのではないかという気もします。

2009年4月 7日 (火)

Yahoo! 動画とGyaoが統合、動画で国内最大手を目指す

方向的には、インターネット上のテレビ局になってくるのでしょうか。「著作権を尊重する」というメッセージも、大事なことだと思います。

インターネット上の動画サービスでは、「ニコニコ動画」「YouTube」がありますが、これらは両方とも利用者の投稿による動画「共有」サイト。どうしても著作権の問題がクリアできず、動画「配信」サイトであるヤフー動画やGyaoはそれらと一線を画す方向性を持っています。今回の「著作権を尊重する」というメッセージは、ニコ動・YouTubeへの対抗から出てきた言葉かもしれませんが、そうであっても著作権の意味を考えて、今後の施策を進めてほしいな、と思っています。

今秋誕生する新しいGyaoのライバルは、ニコ動やYouTubeではなく、テレビ局でしょう。情報の発信がメディアからネットに移りつつあり、テレビや新聞などの既存メディアは苦戦を強いられています。動画コンテンツというくくりで、テレビと動画配信は同じ土俵にあるという認識。既存メディアと新しいネット配信、電波と回線の違いはありますが、お互いが競争することで新たなサービスが生まれる可能性もあります。

ただ、ネットの動画配信がどこまで定着するかは未知数。回線速度の問題で、画質はテレビに大きく劣りますし、いつでも見られるということで (ビデオのように) 保存されたまま見ないで放置されることもありそうです。双方向性ができればネットならではなのですが、地上デジタルの双方向通信がいまいちになっているように、あまりニーズがないかもしれません。

とはいえ、新しいメディアとして、ネットの動画配信は期待していいと思いますので、新生Gyaoの今後に注目ですね。

2009年3月 2日 (月)

地裁で「マジコン」販売禁止の判決、その影響は

ゲームではないのですが、自分もソフトウェアメーカーで開発者として働いている身。ユーザーとは敵対するかもしれませんが、こういった不正コピーに対しては毅然とした態度で臨んでほしいものです。

すでに影響は出てきており、ヤフーはマジコンのオークション出品を禁止。経済産業省もコピープロテクトを破る行為について刑事罰を検討するなど、ゲームの不正コピーについては、今後厳しい措置が下されることになりそうです。

さて、ユーザー側。今回の判決には肯定的なユーザーもいる一方、マジコンには合法的な利用方法がある、コピーを許さないことでゲーム業界はむしろ衰退する、といった主張も見られます。ITmedia+Dでは、「逆ギレ」なる表現でこういった意見を採り上げていますね。

検証してみれば、主張に無理があることはわかるはず。「合法的な利用方法」云々ですが、バックアップ目的の利用は必然性がないし (任天堂が修理を受け付けています) 、自作ソフトをやるのなら自作ソフト専用の筐体で十分のはず。何も、売られているソフトを不正にコピーして使う理由はないでしょう。

ゲーム業界の衰退を不安視するのはいいのですが、少なくともマジコンで不正にゲームをやっているぶんには、業界の活性化には何ら貢献しませんし。お金を出してでもやりたいゲームを作らないのが悪い、という意見もあったようですが、そういう人に限って、どんなゲームでも無料でできるならお金を出すつもりはないんじゃないかな。

自分が働く、ビジネスソフトやサービスのほうは、フリーソフトやオープンソース的な考え方もあり、無料で当然という部分もあります。正直、状況はゲームソフトより厳しいかもしれません。ソフトウェア業界が産業として維持できるのか、ソフトウェアビジネスは崩壊し、一部の好事家が霞を食べながら無償のソフトを提供することになるのか。劇的な変化があるとすれば、この10年くらいの間に起こるように思います。

2009年2月25日 (水)

Google Book Search、米国の和解内容が全世界に影響

利用者側としては悪くない話。検索対象となるのも現在入手不能なものに限られるので、著作権者側も影響は軽微と思われますが、好ましく思わない人も多そうですね。

今回のグーグルのやり方、つまり、何もしなければ和解に参加したことになるというのがどうなのか。対岸の火事だったはずが、いきなり巻き込まれた構図であって、和解に参加するしないとは別の次元で、反発がありそうです。

そして、「米国で市販されていない絶版書籍」の定義が不明確で、日本でしか流通していない新刊が含まれてしまう可能性も指摘されています。とはいえ、米国からネット通販で購入できれば、米国で市販されていると見なすべきでしょうし、これを否定するのは (ネット企業である) グーグルの自己否定ともいえるのではないでしょうか。

今の技術では、書籍をネット上で読むのはかなり苦痛ですし、自分が必要とする情報が載っているかどうかを調べるために、ネットを使う例が多くなるように思われます。印刷物としての書籍の需要は決してなくならないし、ネット上で検索できて必要なものが確実に入手できるのなら、むしろ書籍の需要が増す方向にも動くかもしれません。

日本での導入はまだ遠い先のことになりそうですが、期待したいですね。

2008年12月16日 (火)

ニコ動を救ったのはJASRACとavex

詳しいことはわかりませんが、ニコ動ユーザーがもっとも敵視しているJASRACとエイベックスが、ニコニコ動画を救ったらしい。事実だとすれば非常に興味深い話です。

日本の音楽業界において、ほとんどの楽曲の著作権を有するJASRACと、J-POPの分野では最大手のエイベックス。権利や権力を持つがゆえに利用者からの批判も多いのですが、彼らの行為や主張を全く認めない人がいるなら、それは音楽や映像の作品に金銭的価値を見いだせない、ということになるのではないでしょうか。彼らは権利や金銭にはうるさいのですが、それは作品への価値を認める裏返しでもあります。

書かれた以上の真実は明らかになりそうもありませんが、JASRACやエイベックスがニコ動を救ったという事実はなく、ニコ動が嘘をついたか、つかされたか、という想像は無理がありすぎるでしょう。ニコ動には嘘をつくメリットはないし、JASRACやエイベックスがニコ動に嘘をつかせる必要がない。

ということで事実だとして、ニコ動を訴える可能性があり、JASRACやエイベックスらの働きかけで取り下げる複数の団体として考えられるのは、エイベックスとレコード契約を結んでいる芸能事務所ではないでしょうか。ニコニコ動画によって売り上げが下がった、不適切なコメントにより名誉が傷つけられた、など、訴える理由はいくらもあります。それをJASRACとエイベックスが、ニコ動をつぶして既存の体制を維持するよりも、共存して新たな音楽業界を構築するほうが利益になると判断し、訴えを取り下げさせたのではないか、と愚考します。

世の中、敵味方で簡単に割り切れるものじゃないんです。使い古された言葉ですが「WIn-WInの関係」というのもあり、ビジネスにおいて一方が得をすればもう一方が損をするというわけではなく、どちらも得 (金銭的なものだけではなく、満足感も含めて) できる方法というのがあるわけです。いわゆる「ニコ厨」の人たちが、これをどこまで理解できるのか、わかりませんが。

2008年9月23日 (火)

過去の番組を再配信、「NHKオンデマンド」2008年12月から

要望はかなり以前からあったので、やっとという感もあるのですが、著作権などのあり方を変化させることにもなると思います。

12月のサービス開始時点では、150番組程度が視聴可能となるようです。もちろんこれは、NHKで放送された番組のごく一部にすぎないのですが、個別に権利処理を行わないといけないという制約もあり、このような形になっていると思われます。著作権のほか、肖像権や、出演者との契約で再放送ができない (再契約が必要) というものもあるといわれています。肖像権は一般の人々のプライバシーとも関わりますし、当事者が死去しているなどで再契約が不可能な場合もありますから、今後も難航が予想されます。

余談になりますが、この問題を解決するものとして「ネット権」なるものも提言されています。ただ、これはこれでユーザーサイドに偏りすぎという印象もあり、簡単に答えが出る問題ではないのでしょう。当面は、個別の出演契約で (テレビだけではなく) ネット上への流通を認める形にしていく形が続きそうです。

そして、番組の視聴は有料、録画は不可。著作物で対価を取るのであれば、ネット上での不正な流通を避けるために「録画不可」はやむを得ないのかもしれませんが、納得感はない。一度お金を払ったら、同じ動画を何度でも見られるようになっているのか書かれていませんが、せめてそれくらいは認めてほしいところです。

将来的には、すべての番組を無料で公開して、ネット上にも自由に流通できるようになってくれれば、と思います。ひょっとしたらテレビを媒体とする必要もなく、ネット上だけで番組の流通が完結することも考えていいのかもしれません。公開してくれるのがNHKですし、こちらは受信料を支払っているのだから、いつでも見られるようにしてほしいと、要望を出す権利くらいはあるでしょう、たぶん。

2008年8月 6日 (水)

JASRACが「TVブレイク」を提訴、賠償金1億2800万円を求める

直接見てはいないのですが、「TVブレイク」は著作権法的にはほぼ真っ黒な侵害行為をとっていたらしいですね。

JASRACによる再三の警告も無視、というか明確に拒絶していたとあり、これが事実ならTVブレイク側に勝ち目はないように思われます。そして、JASRACが訴えたのは自身が管理する音楽著作物だけですが、この判決でJASRACが勝訴すれば、勝ち馬に乗る形でテレビ局などが訴訟に踏み切ることも予想され、サービスの提供自体が難しくなる可能性もあります。

動画共有というサービスは非常に可能性があるし、その中で著作権侵害が発生することはあるものの、ある程度はお目こぼししていただきたい。他人の著作物を無断で使うことは本来許されることではありませんが、そこから新しい作品が生まれたり、文化の発展につながったりすることもあるわけですから。

……といいたいのですが、今回の事例を見ると、そういう声が抑えられてしまうように感じます。それだけに、TVブレイクの態度は非常に残念。きちんとした形で交渉のテーブルについて、著作権者と契約を結ぼうとしているサービス提供元が増えている中、そういったちゃんとしたサービスにさえ将来の不利益を被らせるようなやり方でした。

それとも、訴えられるのは想定の範囲内なのでしょうか。利用者の責任であって、自分たちの侵害ではないと言い張るのか、裁判に負けても賠償金を払わなければよいと高をくくっているのか、それとも自己破産や国外逃亡を考えているのか。後ろ2つはさすがにTVブレイクに失礼ですか (汗) 。

2008年7月 5日 (土)

「ダビング10」始まる、一部製品では不具合も

妥協の産物のような気がしないでもないのですが、ここに至るまででも迷走を続けましたから、一応の評価はすべきなのでしょうか。

ユーザーとメーカーと著作権団体の意見が全くかみ合わず、出てきたものが「ダビング10」なのですが、これってどうなんでしょうね。当然、ユーザー側は自分が視聴する範囲では何回でもダビングしたいでしょうし、著作権者側はそういったニーズは認めつつも、やはり流通に関しては管理しておきたいし、確実に使用料を徴収したい、というところでしょう。

7月4日午前4時から、ダビング10対応機器は自動的に (ネット経由のようです) 更新されたようですが、一部の機器では初期化を促すメッセージが表示されるような不具合があったようです。実際にデータを消してしまったという被害も出たとの報道もありますね。

この時期に一応の妥結をみたのは、8月の北京五輪に間に合わせたいという意向があり、補償金問題は棚上げしての妥結だということです。そして、7月10日から協議を再開するということですが、結論は長引きそうです。

個人的な見解としては、どういう枠組みになるとしても、三者が納得できるものにしてほしい。ユーザーはわがままなものですが、そのわがままなユーザーの声を、可能な限り取り入れてほしいですね。現状はユーザーと権利者団体が敵対関係になっていますが、この関係を修復するところから始めないといけないように思いました。どうすればいいのか、具体的なところはわかりませんが。

2008年6月24日 (火)

全番組を録画するHDDレコーダー「SPIDER zero」

昨今の著作権補償金問題などで、テレビ離れが進んでいると思いきや、こういう商品の需要は根強いんですね。ユーザーニーズと著作権管理の間に、どういう落としどころが見つかるのでしょうか。

自分もテレビを見なくなりました。見るには見るけれど、見たい番組の時だけ電源を入れるという感じで、とりあえずスイッチを入れておくということは元々なかったですし、結婚してからは妻もテレビ嫌いで、なくてもぜんぜん困らないと感じています。

ということで、自分がメリットを感じることはない商品なのですが、たぶん売れるのでしょうね。関東1都3県だけで発売ということですが、このエリアは深夜アニメの放送が多いですし、アニメファンも多いので、需要はあるでしょう。

ただ、この購買層が、著作権関係で権利者団体に反感を持っている層とも重なりそうです。番組は録画するし、個人で楽しむぶんにはいくらでも複製するが、権利者に金は落としたくない、という立場ですから、権利者側とは利害が競合します。この製品をめぐって、何かトラブルが起こる可能性もありそうで、今後の動きを注視したいと思います。

(2008/06/25 8:10追記) ※ウィキペディア連携の話を入れ忘れていました。

番組情報はデータ化されているので、そこから番組名や出演者名を検索したり、ウィキペディアの情報を表示したりという機能もついているようです。ウィキペディアが目指す方向とは違うような気もしますが、テレビ番組関係でもっとも広範な情報が出ているデータベースが、ウィキペディアであるのは間違いなさそうですからね。

8チャンネル分を同時に録画するので、1日分のデータをすべて見るには8日かかってしまいますが、必要な情報だけを検索して視聴することができるということで、テレビの視聴方法にも変化が現れるのではないかと思われます。

2008年5月24日 (土)

NHK「技研公開」、スーパーハイビジョンやコンテンツ保護技術など

毎年開催しているのに、「技研公開」というイベントすら知らなかったのですが……。でも、すごいな、これは。

NHKは映像コンテンツを制作している企業ですから、技術も必然的にそちらに偏ります。ニュースで取り上げられているのは、ハードウェア方向では3300万画素という超高精度のハイビジョンシステム、ソフトウェアでは「CurioView」という名前がついたコンテンツ解析技術や字幕生成技術、そしてフィンガープリントを利用した最新の不正追跡技術などです。

テレビについては、家にあるのが地上デジタル対応前の液晶テレビで、2011年までには買い換えないと番組が見られなくなります。デジタルチューナーをつけるか、2011年ぎりぎりに最新技術の入った商品を買うか、地上波を見るのをあきらめるか、現在考え中。もちろんハイビジョンではなく、ハイビジョンのすばらしさを経験も理解もしていないので、「もうこれ以上すごくなる必要もないんじゃないの?」と思ってしまうわけですが (笑) 、実物を見せられると驚いてしまうんだろうな。

そしてソフトウェア的な映像関連技術では、映像データを解析できるようになってきているようです。そのうち、AI (人工知能) でもっと高度な解析ができるようになり、「納豆が身体にいいと行っていた番組」程度のおぼろげな情報からも検索できたり、放送する前から視聴者に受けるかどうかがわかったり、さらには人間が介在せずに番組が自動生成されたりするのでしょうか。そしてAIによって番組がジャックされ、視聴者である人間がコンピュータに支配されていく……ってどんな妄想オカルトですか (汗) 。

コンテンツ保護は、いろいろと抜け道を探すユーザーと埋める権利者側のいたちごっこになっており、そういう方向で技術が進んでいくのは、歓迎していいのかどうか複雑な気分です。わがままを言わせてもらえば、すべての映像データをネット上でいつでも合法的に見られるようにしてもらえる、つまり権利者側が放送した番組をすべてネットでも公開していただければ助かるのですが、ネット公開にスポンサーも受信料もつきませんから、実現は (それこそ99.9999%の確率で) ないでしょうね。

2008年4月23日 (水)

JASRACが独占禁止法違反の疑い

ネットの論調は「JASRACざまあ」ですが、このままJASRACが解体されるとは思わないし、たとえ解体したとしても状況は悪化するのみでしょう。

前置きしておきますが、今回の検査に著作権法は関係なく、独占禁止法 (独占を禁止しているわけではないのでご注意) 違反の疑いによるものです。管理している著作物の利用契約について、放送局との間の包括契約が他社の参入を妨げているのではないか、というものです。

ここまで踏まえて、JASRACの解体というのがいかにもあり得ない話だという理由を書いておきたいと思います。まず、独占禁止法は独占を禁止しません。対象となるのは独占的地位を利用した他社の排除行為です。包括契約が違法と見なされれば、契約を見直すことにつながりますが、組織の解体までは要求されないでしょう。あっても分割までで、著作権管理団体としてはそのまま残ることになるはずです。

よしんばJASRACが解体、ないしは消滅したとして、受け皿を作らないことには事態が悪化することが必然です。著作物の利用に関して違法行為がまかり通る無法地帯になるのか、違法行為を恐れ、あるいは煩雑な契約を厭い、著作権者が著作物を利用させなくなるか、いずれかが予想されます。どちらにしても、今よりよくなることはないでしょう。将来的には、音楽における著作権ビジネスが成立しなくなり、良質な音楽が作られなくなってしまいます。それは、文化の発展の終焉ということにほかならず、危機的状況であるといわざるを得ません。

もちろん、みんなが望むのであれば、歌手や芸能人という職業がなくなり、楽曲はアマチュアが趣味で作るものになってもいいと思います。そのほうが著作物の利用という意味では自由になるのですが、質の面で大きく低下することは免れないと思います。いまでさえ、20年~30年前の楽曲をリメイクして消費しているものもあるのですが、さらに質が低下すると、昔の楽曲の資産も食い尽くしてしまいますよ。

2008年4月 3日 (木)

「スナック初音」も復活? ニコ動とJASRACが契約締結

初音ミクの「スターリングラード冬景色」も、いさじの「やらないか」も、(少し古いですが) kobaryuの「VIP STAR」も、堂々とニコ動にアップできるようになりそうです。

じっさいのところは、替え歌はまずい、という解釈もあるらしいです。同一性保持権はJASRACではなく楽曲制作者にあるため、JASRACとは歌詞を変えて歌う契約ができない、というのが根拠のようですが、このあたりは微妙。ニコニコ動画には、何が認められて何が禁止されているか、ガイドラインを示しておいてほしいと思いました。

ニコニコ動画ではミク、リン&レンに歌わせるのがはやっていて、懐メロを歌わせる「スナック初音」「クラブ鏡音」もあったのですが、当然のように取り締まりの対象になっていました。今回の契約で、これが問題なくなるわけですから、またおもしろい展開になりそうです。懐メロ好きなので、堂々と聞けるようになればうれしいことこの上なしですね。

契約内容は「ニコニコ動画全体の売り上げの1.875%をJASRACに支払う」とのこと。楽曲の動画とそれ以外を分けることはしていないようです。といっても、分けるのは現実的にはほぼ不可能なので、全体のうち楽曲動画が占める割合はこれくらい、と試算して出した数値だということなのでしょう。ちなみに、「情報インフラ24時 眠らないシステム > ニコニコ動画は毎日1680万円もの商品を売り上げている : ITmedia オルタナティブ・ブログ」だそうで、月収3150万円と試算されています。

もちろん、プレミアムの売り上げもあるし広告収入が大半でしょうが、アマゾンからの売り上げだけでも、1.875%は月600万円ほどに相当しますから、かなり大型の契約だといえそうです。年間1億は支払うことになりそうですね。

2008年3月28日 (金)

ニコ動×JASRAC×テレビ局、ネット時代の著作権とは

作品をどのように評価し、作り手に還元すべきか。ずっと先送りされていた問題ですが、ネット時代になって無視できなくなってきました。

この問題に正面から取り組む団体があります。私が大嫌いで、でもちょっと気にしている、MIAUのことなのですが、昨年11月に「大感謝祭」と題して、作り手への感謝を直接伝える試みを行っています。金銭的な報酬についても、中間の業者を通さず、利用者が作り手に直接渡せる仕組みを考えているようです。

かつては、というか現在もそうなのですが、ほとんどの「(1)作り手」は出版社やレコード会社といった「(2)中間の業者」と契約し、作ったものを契約した業者などを通して小売りなどの「(3)公開する場」に預けて、「(4)利用者」に購入してもらう、という流れを取っています。ネット時代になって、(2)を省いていこうという流れになっていますが、(3)を省くのは無理。どういう形であれ、(1)は(4)に作品を見せる場が必要なのです。

そして(3)を維持するためには、当然ながら費用がかかりますし、誰かが負担する必要があります。従来の仕組みでは直接的には(2)が費用を負担し、(4)から(1)に行くお金の一部が(2)と(3)に流れていた、という形になるのですが、これが批判のもとになっていました。(2)がなくなれば、(3)の維持費は(1)か(4)が負担せざるを得ないのですが、どうあるべきなのでしょうか。

現実に多いのは(3)自身が広告収入にたよる (これも広い意味で(4)の負担) か、(4)から負担する形です。これだと結局(4)から(1)への金銭の流れが透明になっているわけではなく、MIAUの理想ではないでしょう。MIAUがどう考えているかはわかりませんが、MIAU自身が「大感謝祭」で手をこまねいているように見えるのは、このあたりのジレンマがあるように思いました。MIAUの趣旨に賛同する作り手を集めて、MIAUが提供する場でコンテンツを公開することは難しくないはずですが、そういう場を設けること自体が「大感謝祭」の趣旨に反していると考えているのでしょう。

では(3)の維持費を(1)が負担して、(4)は(1)のみに金銭を支払うようにすればいいかというと、そうでもありません。この仕組みを作り手の側から見ると、作ったものを見てもらうのにお金がかかり、しかも必ず売れるとは限らないという、リスキーな仕組みになってしまうわけです。作り手を守るための仕組みが、かえって作り手を苦しめることになり、これでは (費用面だけの意味ではなく) 場が維持できないでしょう。

おそらく正解のない問題であるか、少なくとも正解が見つかっていない問題です。最適解を探していかなければならないのですが、これから先何年かは手探りの状態が続くものと思われます。今回のシンポジウムでも、JASRACを筆頭として、(2)にあたる中間業者が悪の根源のように言われていますが、(2)がなくなれば(1)と(4)がともに幸せになれるかというと、そうでもない。今の仕組みを維持する必要はないのですが、新たな仕組みを構築できないまま破壊してしまうと、誰も幸せになれない状態に陥りそうですし、(4)にあたる我々も真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。

2008年3月20日 (木)

mixi改定規約の修正とモンスター・ユーザー

記事ネタはmixiですが、ちょっと違うところを主張させてください。学校では「モンスター・ペアレント」、会社では「シュガー社員」というのが幅を利かせているらしいですね。

最後の日経トレンディは、規約の修正が発表される前のものですのですが、参考になるのでリンクに加えました。

規約改正を発表したニュースを取り上げたとき (たまご915のIT道中膝栗毛: mixi規約騒動に考える、モラルと常識と著作権) にも書いたのですが、ユーザーの権利が暴走を始めているように思いました。今回の問題はサービスの提供者と利用者という非対称の関係なので、権利の暴走という構図は見えづらいのですが、利用者同士の権利の衝突も同時に発生していました。

つまり、今回の規約改定に反発した一部ユーザーが、自分の立ち上げたトピックを削除する動きや、管理しているコミュニティに規約改正反対を大書する動きが見られました。当然ほかのユーザーがいるわけで、その人が自分の書いたものを残しておきたいと思っても、その権利は反映されないし、コミュニティ参加者が今回の問題に関わりたくないと思っても否応なく主張を見させられる、という事態にもなります (というか、私自身が巻き込まれて、いくつかのコミュニティを抜けました) 。これらの問題をすべてmixiのせいにするのは簡単ですが、そこまでユーザーの自由を認め、サービス提供者は責任を負うべきものなのでしょうか。

そして、規約騒動が続く中で、ニコニコ動画がテレビ番組を全削除する方針が発表されました (たまご915のIT道中膝栗毛: ニコ動がTV番組動画を全削除したあとを想像してみた) 。これはmixiのニュースコーナーでも取り上げられ、何人ものユーザーが日記にコメントを残していましたし、mixiのニコニコ動画コミュニティでも話題になっていました。賛否両論あるわけですが、「消されるのは残念」「ニコ動から人気が出たことは無視して悪者扱いか」的な論調も少なくありません。mixiの参加者は1000万人を大きく超えており、同じユーザーが主張しているのかどうかはわかりませんが、著作権に関する感覚が、明らかにおかしい。

自分の著作権は過剰なまでに守りにいくが、他者の著作権は「損害を出していないんだから」と堂々と踏みにじるのは、なんなんでしょうか。義務を果たさず権利だけを主張する「モンスター・ユーザー」ぶりには、正直辟易します。一部のモンスター・ユーザーのために、規制が強まったりサービスが縮小されたりすることは何度も見てきました。mixiも早晩そうなるでしょうし、ネット全体が息苦しくなっていくでしょう。私たち自身が、そういう世界を作っていっているのです。

2008年3月19日 (水)

有識者フォーラムの提言する「ネット法」とは

八田、という名前があってこのテーマですから、MiAUだと思い込み。「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」代表の八田達夫氏とMiAUの八田真行氏は、同姓の別人なんですね。

私の理解の範囲でざっくりと説明すると、テレビ番組・映画・音楽に限定して、それぞれの製作会社・団体に対して「ネット権」を設定します。ネット権のもとでは複製権などの著作権や肖像権などの各種権利は制限され、ネット権の許諾を受けたものは誰でも、ネット上でその著作物を自由に利用できる、ということになります。具体的には、テレビ局からネット権の使用許諾を得れば、地上波でしか放送していなかった番組をネット配信できるという形が想定されているようです。

また、フェアユースの考え方も取り込まれ、公正な用途であれば二次利用についても著作権者などの権利行使が制限され、許諾がなくとも利用できるようになるようです。

いくつか気になる点があります。ネットで作品を公開したあとのことになるのですが、その作品をネットの視聴者が複製してばらまいた場合、誰がどの権利を行使することで違法だ、不正だということになるのでしょうか。原著作者の複製権は消滅していますし、製作会社のネット権では一般視聴者の利用まで許諾する形になるはず (この辺が怪しいが) ですので、この権利では止められないのではないでしょうか。

あと、ここまで既存の権利を制限してしまうと、著作権の本来の目的であった「文化の発展に寄与」することができなくなるかもしれません。つまり、著作権者は自分の作品がどのように使われてほしいか制御する権利を与えられていたのが、ネット上では全く行使できなくなるわけですから、「ネットで嫌な使われ方をされたくないので、公開しない」という選択に結びつくことも十分に考えられるわけです。

とはいえ、基本的にはネット上での著作物の流通が盛んになることは賛成ですから、いろいろな提案を出して議論を深め、著作権者も利用者も幸せになれる道、著作物を生かして文化の発展に寄与する道を、切り開いていってほしいものです。

2008年3月13日 (木)

ニコ動がTV番組動画を全削除したあとを想像してみた

このニュースを聞いて残念がっている人が相当数いるのに愕然としました。そんな人が近くにいたら、「あんたら、著作権を何だと思っているんだ?」と怒鳴りつけたいくらいですね。

ブログにするのが1日遅れたので、言いたいことはほかのブログや掲示板などで言い尽くされているように思います。ちょっと観点を変えて、(ニコ動が本気だとして) すべて削除されたあとに来るものを想像してみます。

今あるもので残るのは、自分で撮影した動画や、初音ミクに歌わせた楽曲など、かなり限られたものになりそうです。オリジナルでない楽曲 (つまり市販のもの) は、今回の対象ではないのですが、これも遅かれ早かれ削除されそうですね。ということでアイマスMADもあぼーん。とはいえ、これらだけでも相当楽しめるのではないかという予感。

ただ、テレビ局に申し入れたということは、著作権違反のコンテンツを一掃したあとに、テレビ局公認のコンテンツを移入させる腹づもりがあるのではないかなと思います。権利者側は「すべての違法コンテンツをリセットすれば交渉に応じる」という強硬な態度をとっていたところもありましたから、そういったところも動かざるを得ないという計算もありそうですね。ということで、「合法的にテレビ番組が見られるのは、テレビとニコ動だけ」というのがひとつのゴールではないかと。

テレビ局のほうも、ネットでの番組公開にもっと積極的になってほしい。深夜帯のアニメ番組なら、1番組100円、26回通して2000円 (値段は適当) といった値段で視聴者に直接売れば、それなりに収益が見込めると思いますが。番組スポンサーを得るのに苦労しているのであれば、直販してみるというのもひとつの手だと思いますよ?

2008年3月 7日 (金)

あさってはどっちだ! (ニコ動的な意味で)

最初はパクリ専門のサービスかと思っていたのですが、日本人の趣味嗜好に完全にフィットしましたね。自分、会員になっていないのですが、そろそろ考えてもいいかな。

3月5日に発表があり、その日の夕方には「SP1」にバージョンアップしたということです。報道された範囲で発表の内容をみたところ、西村氏が言うような「あさっての方向」がどちらなのかは、まだ見えていないですね。

とりあえず、動画共有サービスとしての正常な進化は目指さない模様。そういったところはYouTubeなどに任せて、自分たちはニッチな方向に進む、といったところでしょうか。動画内のテロップ風メッセージ、毎正時の広告付き時報、動画と連動した商品紹介など、ユニークな企画をいくつも実現させていますが、次は何が飛び出すのでしょうか。

著作権については、違法コンテンツは排除し、JASRACなどの権利者団体と協議の上で合法コンテンツの範囲を広げていこうとしています。こういった動きは、新しいサービスの提供とは別ですが、歓迎できるものです。動画コンテンツで利益を得ているところ (映画会社やテレビ局) のおこぼれに預かるのではなく、自分たちで新しいものを作っていこうという姿勢、これからも続けてほしいですね。

2008年3月 5日 (水)

mixi規約騒動に考える、モラルと常識と著作権

もちろん、ミクシィの失態であるのは間違いないのですが、ここまで人が人を信じない社会になってしまったのか、権利を振りかざすだけの社会になってしまったのか、とユーザー側の過剰ともいえる反応を見て思いました。

MONEYzineによると、ミクシィの株価が下落しているらしい。でもこれは一時の不祥事であって業績への影響は限定的なので、株をやっている方は今が買い時かもしれませんね。私は株は素人ですので、信用しないほうがいいかもしれませんが。

閑話休題。正直、ユーザー側は過剰反応。改定される規約にも免責事項があって、mixi事務局がユーザーの同意を得ないで日記の内容を閲覧することはしません、と書かれています。もちろんmixi側にとっての抜け穴はあるのだけれど、ユーザーの同意を得ずに日記を書籍化するようなまねをしたら、法的に許されても会員と世間は許さないでしょう。自滅行為にほかならないし、やるわけがない。でも、それを「やるんじゃないか」と疑心暗鬼になっているのが現状。疑心暗鬼というより、自分の著作物をmixiに使われる可能性を、完全につぶしたいというほうがあたっているかもしれません。

ユーザーのモラルも、かなり崩壊してきたように感じました。「技術的に可能なこと」「法的に認められていること」「節度を守ってやるべきこと」の違いを理解せず、やっていけないことなら技術的に禁止しろ、と開き直る例が増えています。こういう人たちが、実際に技術的に制約をかけられると、法的な権利を主張して不当な制約だとするし、他人には節度を守れと主張するし、はっきりいってめちゃくちゃなんです。

「権力は腐敗する」とよく言われますが、これは我々にも当てはまりそうですね。権 (著作権) と力 (情報発信力) を手に入れた私たちが、権力の扱い方を誤って、というよりは正しい扱い方を知らずに、権力に振り回されて壊れていくのが、今そこにある危険なのかもしれません。

2008年2月25日 (月)

P2P-Next始動、EUも1500万ユーロを提供

日本でP2Pというと、Winnyを代表として悪者扱いですが、技術的には十分可能性があるわけです。欧州の挑戦は成功するでしょうか。

日本でP2Pが悪者扱いなのは、著作権侵害を助長するツールであるとみなされ、とくに多くの著作権を持つテレビ局やレコード会社からは完全に敵視されているように思います。ところが、P2P-Nextプロジェクトには、BBCをはじめとする欧州各国の放送局が参加を表明し、EUも1500万ユーロ (24億円) の資金提供を行ったということです。

つまり、欧州は日本や米国 (ZDNetは対米国の視点で書いています) とは異なり、P2Pは既存のメディアの脅威になるのではなく、メディアが進むべき道であり、研究の対象であるという認識だといえます。欧州でもP2Pを利用した著作権侵害は大きな割合で存在しているのですが、合法な形でP2Pを利用した著作物のやりとりを行うことで、メディアの利益になるということなのでしょう。

研究の対象は、インターネットによる動画放送、そしてビデオオンデマンドのように、好きな番組を見たいときに見られるサービスの提供ということのようです。少なくとも日本では、テレビとネットの融合にはまだ時間がかかりそうですが、好きな番組がいつでも見られるようになれば、テレビ放送のあり方が変わってくると思います。その変化がよいのかどうかわかりませんし、場合によっては既存メディアの崩壊だけで、新しいメディアが生まれない事態もあるかもしれませんが、ともかく何らかの変化には期待してよいのではないでしょうか。

2008年2月12日 (火)

eyeVioでJASRAC管理楽曲が使用可能に

YouTubeとニコニコ動画の陰に忘れられがちですが、ソニーも動画共有をやってますよ。JASRACとの契約では両社に先んじた形ですね。

今回の契約では、JASRACが管理する楽曲名などを登録するのみの作業で、eyeVio上で合法的に演奏・歌唱することが可能になります。ただし、市販のCD・DVDや楽曲演奏中のTV番組の録画を投稿するのは、その他の権利 (JASRAC以外の著作権や肖像権など) のため、この契約をもってしても不可、ということになります。まだまだ縛りが厳しいのですが、これについてはJASRACを批判しても始まらず、レコード会社やテレビ局との契約が必要になってくるというわけでしょう。

自分で演奏あるいは歌唱したものに限られるわけですが、実は敷居はかなり低くなっています。ヒントは「初音ミク」「鏡音リン・レン」。先日、秋葉原のPCソフト売り場に行く機会があったのですが、ボーカロイド2の大ヒットで、PCで音楽を演奏させることが一般的になりましたし、JASRACの楽曲が合法的に使えるなら、投稿される画像も大きく増えることが予想されます。

いま、ボーカロイド関連の動画が一番多く投稿されているのはニコニコ動画でしょうから、ニコ動が同様の契約を結ぶことがあれば、かなり大きなインパクトになりそうです。そして、eyeVioがこういった契約を結んだことから、ニコ動にも十分可能性が出てきているわけで (実際、交渉中ですし) 、近々おもしろい動きになりそうですね。

2008年2月 6日 (水)

PCソフトの違法コピー減少による経済効果、BSAが試算

なんか、政府による公共事業の経済効果がどうこう、という眉唾な議論を見せられているような気もしますが……ともかく違法コピーは減らしたいですね。自分 (ソフトウェア開発者) の稼ぎにも直結しますし。

最初に疑問に思ったのですが、現在の25%という違法コピー率が10%低下したら何%になるのでしょうか? 25-10で15%? それとも、25×0.9で22.5%? 文脈的には前者 (15%) で取るべきなのでしょうけど、曖昧な書き方は避けていただきたいですね。

実は2年前にも同じ調査を行っているのですが、このときには2兆8800億円という試算が出ています (日本の違法コピー率が10%低下したら2兆8,800億円の経済効果、BSAが報告 (INTERNET Watch、2005年12月8日) ) 。2年の間に景気が後退したこともあるのですが、効果は3分の1近くに圧縮されてしまっていますね。2年前の試算が無謀だったのかもしれませんが。

試算を出しても、不正コピーを行っているユーザー企業の側からすれば、経済効果が自社の利益につながるわけではないとかなんとかいって、我関せずという態度になりそうです。同じコストをかけて調査を行うのであれば、違法コピーを行っている側に響くような調査を行ってほしいと思いました。

ちなみに、違法コピー率は、日本では25%ですが、中国は82%、ロシアは80%という異常な高率です。これではまじめに買うほうが馬鹿を見るようなものですので、国民の意識改革が必要です。どうすればいい、という特効薬は見いだせていませんが、早急な対策が望まれているのではないでしょうか。

2008年1月29日 (火)

ネット時代の著作権のあるべき姿とは――早大でシンポジウム

現行の制度が時代遅れであることは否めないのですが、だからといってJASRACを否定していればいいかというと、それも違うのではないかと思うのです。

長くなるので自分の結論から書きますが、次の世代、つまり30年とか50年とか先になると、「著作権」で保護される権利自体が有名無実化しているのではないか、とさえ思うのです。プロのクリエーターという概念は崩壊していて、誰でも作品を発表できるし、それを見た誰でも自分のものとして二次 (・三次・……) 創作できる。そこにお金は回らないので、見てもらえる・使われるだけの価値があるかどうかだけの世界になっているのではないかと思うのです。現在「ネット乞食」といわれることもある側の視点からですけどね。

こういう世の中になるのは、悪いことではないような気もしますが、作品の質という意味ではかなり不安な気がします。オリジナルを作ることに対する価値が相対的に下がりますから、二次創作や模倣品が多数作られることになって、「コンテンツ大国」の萌芽がある日本が、自らその芽をつぶしてしまうことにもなりそうです。ブログや動画共有などで「総表現社会」といってよい時代になっていますから、クリエーターのプロとアマの境目は曖昧になってきています。全員を同じスタートラインに立たせて、そこから選別していく、というのもありなのかもしれません。

著作権から離れて考えますが、「いいものを正当に評価する仕組み」というのも難しいところがあります。現在の制度の不満の一つとして、対価の流れが不透明、というのもあるわけですが、この不満はクリエーターに直接対価を手渡しするか、絶対に信頼できる何か以外は間に入らないことが保証できないと、ぬぐえないものでしょう。ここを制度化するのは、かなり大変かもしれません。法律を変える以上の困難もありそうです。

考えられる可能な方法としては、権利者登録制度に近いものになりそうですが、新しい管理団体を作り、その団体に登録されたオリジナル作品は二次創作などの利用を認め、利用者が価値を認めたら対価を支払い、その対価は確実にオリジナルの作者に渡る仕組みを確立することです。すでにあるもので類似のものを探すと、クリエイティブ・コモンズのような形になるのかもしれません。お金の流れについては透明性を確保し、利用者の信頼を得る必要があります。最初は少数のアマチュアのクリエーターが参加する程度でしょうが、うまく回転するのであれば、新しい著作権のあり方として動き出せる可能性は持っていると思います。

2008年1月27日 (日)

「原田ウィルス」作成で大学院生を逮捕

国内では初の逮捕者。ただし、コンピュータウィルスの作成は (日本では) 罪にならないので、著作権法違反を適用しています。

容疑者のほうは、自分が作成していることを知られることはないと高をくくっていたようですが、そこまで日本の警察は甘くない、といったところでしょう。Winnyの47氏のように著作権のあり方をひっくり返そうとしたわけでもなく、愉快犯のように思われます。

報道では、やはり法整備の遅れを指摘する記事が多く、ウィルス作成自体を取り締まる法律が必要という世論になりそうです。私も法整備が急がれていることは感じますが、単純所持は取り締まれません (性質上、利用者の意志によらず勝手に居着くわけですから) が、作成といっても実験や研究の目的での作成というのもあり、どこまでを取り締まりの対象とするのかは慎重な議論が必要かと思います。

たとえば、私の勤め先の製品で脆弱性が指摘されたとして、業務上の調査のために脆弱性を突いて任意のプログラムを実行できるかどうか試すプログラムを作ったとしたら、これは犯罪でしょうか。もしそれがP2Pソフトなどで、意図せず公開されてしまったら……?

私は法律については素人なので、どうすればいいのかという意見はできませんが、単純に「法整備をして取り締まれ」ともいえないのではないでしょうか。そして、そんな状況の中でも逮捕・送検に至った警察の行動には一定の評価をしておきたいと思います。

2007年12月25日 (火)

初音ミクJASRAC登録騒動で和解成立

雨降って地固まる。でも、そもそもなんでドワンゴが信託登録する必要があったのかなあ?

冒頭の疑問、ヒントは「着うた」だったようです。着うたのサービスを展開するにあたり、楽曲利用料を徴収するために、著作権管理団体への信託が必要だったということです。

事の発端は、ドワンゴ子会社が「初音ミク」を使った楽曲を着うたで配信する際、制作者との契約を怠った、と2ちゃんねるで指摘されたことと、JASRACへの信託登録の際に「初音ミク」名義で登録 (実際の作者名を入れなかった) こと。このあたり、完全にドワンゴのミスのようですが、説明が不十分だったことも混乱に輪をかけたようです。

25日になって事態は急展開し、ドワンゴとクリプトンが和解する形で決着しました。ただ、作者と利用者が置いてきぼりを食った形のようにも思えますので、今後は彼らへの説明責任が発生するものと思われます。

作者側では、自由な利用を推進するため、クリエイティブ・コモンズ (CC-BY-NC 2.1、つまり、「表示・非営利」) での展開を行うと制限した方もいるとのこと。クリエイティブ・コモンズはJASRACへの登録とは相容れませんから、同調する作者が増えれば、信託解除のような手続きも発生する可能性があります。一度登録したものを解除するようなことは前例がないようにも思いますが、可能なのでしょうか。作者側が、聞いていない、あるいは、錯誤による契約だと主張すればいいのかな?

しかし……何か納得いかない。「ニコニコ動画」という場を提供しているだけのドワンゴが、自社の着うたサービスでビジネスをなすために、場に提供されたコンテンツを使ってよいのかどうか。その場合、作者側にどれくらい還元されるべきなのか。どうしてもお金の話になってしまいますが、他人のふんどしで金儲け、というように見えるのは私だけでしょうか。

2007年12月23日 (日)

2007年回顧(1) ―― 著作権に揺れた2007年

年末のお約束ではありますが、今日と明日はこの1年を振り返ってみたいと思います。

2007年のIT業界がどういう1年だったかというと、コンテンツの著作権に振り回された1年ではなかったかと思うのです。1回目は、そういった観点からまとめてみたいと思います。

■YouTube・ニコニコ動画の成功が著作権者の脅威に

著作権との関係では、動画共有サービスの成功を抜きに語ることはできないでしょう。YouTubeやニコニコ動画が大成功した主要因に、過去のテレビ番組の映像を簡単に見られる、というのがあることは否定できません。ですが、これは、当然ながら著作権侵害 (具体的には、複製権や公衆送信権の侵害) に相当しますから、テレビ局などの権利者側が不満を表明するのは自然でしょう。

夏にはYouTubeと権利者団体の交渉がありましたが、権利者側がすべてのコンテンツの削除を要求するなど、双方の溝は深いようです (参考:たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeの違法コンテンツ問題、今後の展開を予測 (8/5)) 。YouTube側は著作権保護の仕組みを導入し (たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeの新ツールで著作権問題は解決するのか? (10/17)) 、JASRACとの合法化に向けた協議を開始しています (たまご915のIT道中膝栗毛: YouTubeとニコ動がJASRACと協議開始、合法化へ一歩 (10/30)) 。

YouTubeもニコニコ動画も、著作権侵害となるコンテンツの削除を継続していますが、すべてを削除するのはまず不可能。権利者側も、ネットへの配信は今後不可避となるものの、現状でゴーサインを出すことは危険すぎると判断するでしょうから、今後も難しい交渉が続くものと思われます。

■著作権法の改正は社会をどのように変えるか

もう一つの視点が、著作権法そのものの改正。保護期間を現行の50年から70年に延長する案 (たまご915のIT道中膝栗毛: 著作権保護期間は延長すべきか? (4/13)) と、違法サイトからのダウンロード (私的使用を目的とした複製) を違法とする案 (たまご915のIT道中膝栗毛: 違法サイトからのダウンロード違法化へ――未来は暗黒かバラ色か? (12/20)) が骨子となります。いずれも権利を強化する方向に進み、利用者側からは強い反発を招いているのは報道の通りです。

利用者側からは、MiAUが設立されるなど、対抗を強める動きが出てきています (たまご915のIT道中膝栗毛: 「MiAU」設立は消費者のためにならない (10/19)) 。ダウンロード違法化の問題が進行しており、設立を急ぐ理由はあったのですが、これから方針をどのように転換していくのか、注目されます。下手をするとMiAU自身の崩壊の危険性もはらんでいます。

これらの改正案が通ると、これまでの使い方で許されていた、あるいは黙認されていた部分が違法とされる場面が出てきます。現時点ではそれほど大きな影響はないと思いますが、新しい制度の中で、新たな著作権のあり方を模索する必要が出てくるのでしょう。

■今後望むこと

常に、権利者側は「すべての著作物を管理したい」、利用者側は「すべての著作物を自由に使いたい」という立場であり、この溝は簡単に埋まる問題ではありません。利用者側には、権利を強化することで、かえって文化の発展を妨げるという主張もありますが、かといって自由な利用を完全に認めてしまうと、海賊版が蔓延する諸外国のような状況に陥ることは明白です。

当然、解決は簡単ではありませんが、たとえば権利を強化する代わりに、すべての著作物をネット上で入手できる環境を整える義務を課するなど、利用者の便益を図る必要もあるかと思います。

権利者はもちろん、利用者の側も、著作物による文化の発展について、どのような手段が望ましいか、考えていくことになりそうです。自分たちの要望をぶつけるだけではなく、少し古い表現になりますが「Win-Win」の関係を築くために何をしなければならないのか、2008年には結論が出るとうれしいのですが。

2007年12月20日 (木)

違法サイトからのダウンロード違法化へ――未来は暗黒かバラ色か?

MiAUはじめ、利用者側は大反発なのですが、結果的に押し切られました。規制が際限なく強化されることに、かなりの不安と不信感があるようです。

関連するニュースをあげてみましたが、CNETとITmediaの読者ブログのほうが数が多いですね。やはり、利用者側の関心が非常に強いのでしょう。

国による規制の強化が際限なく続くことは、あまり考えられないと思います。誰にもメリットがありませんから。それに、たとえ規制が強化されるとしても、ウェブの閲覧やブログなどでの情報発信、創作活動を非合法化するようなことは不可能でしょう。普通にやっている限り、それほど大きな問題にはなりそうにもない、というのが個人的な感覚です。

でも実際に、決められたサイト以外からはコンテンツのダウンロードが許されない、つまりは著作物の流通が完全にコントロールされてしまったらどうなるのかを、夢想してみました。利用者の取りうる行動は3つしかないです。合法サイトを使うか、地下に潜るか、コンテンツを利用しないか。どれくらいの人が1番の選択肢を選ぶかという点で、権利者団体と利用者側の思惑に大きな相違がありそうです。

そして作り手側 (ここではプロに限定します) も、選択肢は3つ。合法サイトの枠組みに入るか、自らフリーコンテンツを提供するか、創作活動を放棄するか。1番の選択肢は、楽だけれど制限が厳しそう。音楽におけるメジャーレーベルに相当すると思います。枠にはまるのを嫌がるなら2番目の選択肢ですが、これでは創作活動に専念できないでしょう。

そもそもの話として、現代は創作家の存在できない時代になりつつあります。貴族や名家がパトロンとなって、金銭面も含めた、創作活動に専念できる環境を享受することができましたが、今やそういう時代ではなくなっています。そのため創作の傍らで環境を自ら作るか、権利者団体という形の新たなパトロンを作り出すか、ということになりました。権利者団体を否定するのは、プロの創作家の存在を否定するのと、ほぼ同義ではないかと考えます。

ではここで否定される、プロの創作家は本当に必要なのかどうか? コンピュータやインターネットの普及で、創作活動そのものの敷居が下がり、また創作の結果を公開することも手軽に行えるようになりました。プロアマの垣根がなくなってきているので、アマチュアの中でも高度な作品を生み出す人も出てきそうですし、もはや創作活動だけやっていればいい、ということはなくなっているのかもしれません。

アマとプロの垣根、創作家と利用者の垣根がなくなり、お互いに自由に作品を利用し合う未来。そういう未来であれば、案外悪くないのかもしれませんね。

2007年11月25日 (日)

「ひこにゃん」問題で作者と彦根市が対立

今後使わないなら、それはそれで伝説になりそうだし、彦根のPRとして積極的に使っていくのもありだと思います。ただ禍根を残すようなことにはなってほしくないですね。

どちらの言い分が正しいのか、かなり微妙。契約がどうなっていたかにもよると思うのですが、その契約自体がややこしいことになっている (どうやら、中間に別のデザイン事務所が入っており、作者と市が直接契約を結んでいない可能性もあるらしい) ことも、問題がこじれた原因のひとつになっているようです。

彦根市にとっても大きなビジネスチャンスであり、「ひこにゃん」を使わない手はないと思います。ですが原著作者の意向は無視するべきものでもなく、今回のように「ものをいう著作者」であれば、積極的にビジネスに関わらせる方向もあるのではないかと思います。自由に使えるようにすることを基本線に、どのような使い方をするべきか両者間で調整し、場合によっては契約を結び直すことも必要なのでしょう。

「のまネコ問題」との類似点を示す識者もいるようですが、この件とは構図は異なる問題だと考えるべきでしょう。類似しているのは著作権とお金の問題であることと、個人対企業・行政という構図であることだけで、お互いの主張などは全く異なるものです。個別に問題を考えていかないと、おかしな結論にたどり着きそうで不安があります。

2007年10月30日 (火)

YouTubeとニコ動がJASRACと協議開始、合法化へ一歩

「いったんすべて消せ」という強硬意見もありましたが、とりあえずお金で解決できそうな雰囲気になってきました。

JASRACとの協議なので、対象となるのは音楽のみですが、合法化に大きな一歩を踏み出しつつあります。人気の楽曲に自作の動画を組み合わせた、いわゆる「MADフラッシュ」がかなりの数投稿されているのですが、音楽著作物の利用が合法化されれば、MADフラッシュの大部分が堂々と投稿・閲覧できるようになります。とくにニコニコ動画では、MADフラッシュは主要なコンテンツのひとつですから、これが合法になるだけで状況が大きく変わってくるものと思われます。

ただ、テレビ番組やアニメなどの映画著作物が、手つかずで非合法のまま残っています。これは非常に大きな問題で、というのもテレビ番組などの録画をそのまま投稿したコンテンツも数多く、そしてそれらが人気のあるものとなっているからです。テレビ番組の場合、出演者の肖像権や契約問題なども絡み、著作権だけでは解決できない部分が生じるので、音楽著作物のような協議の進め方は期待できないかもしれません。

DVDなどの形で販売しているもの、販売予定のものは、複製が投稿されるのは売り上げに関わる部分もあって規制せざるをえないのだろうと思いますが、それ以外のものについてはもう少し緩く運用してくれてもいいのではないかと思います。極端な話番組が「使い捨て」になっているわけですから、動画共有サイトへの投稿は自由に認めるくらいでもよいと思うのですが。

2007年10月28日 (日)

「いいめもダイエット」閉鎖の後

アイデアの盗作だというのは仕方がないとしても、著作権として取り上げる問題ではなかったのじゃないかな、と思います。

原因はサービス提供元と岡田氏の行き違いでしかないのでしょうけど、お互いに残念な結果になってしまいました。いわゆる「WIn-Winの関係」、つまりいいめも、岡田氏、そしてユーザーの3者がいずれも幸せになれる仕組みは作れただろうと思いますが、いいめも側が拙速になりすぎていた (サービス開始も、撤退も含めて) 部分はあると思いました。

岡田氏の公認のもとで、「いいめも」をサービスする道はあったと思います。岡田氏のダイエット本のやり方に準拠して、極端な話岡田氏にスーパーバイザーとしてついてもらって、サービスを提供するのがお互いにとって最善だったでしょう。契約が生じますが、ダイエット本の広告を無料で掲載するような形で落ち着かせることもできたと思います。

岡田氏のほうも、クレーム自体は当然だったかと思います。ただそのやり方がまずく、ネットの反感を買う形になってしまったことは否定できません。岡田氏ほどの識者であればアイデアが著作権で保護される範囲にはないことは知っていないわけがないのですが、なぜ誤解を招くような形でクレームを出したのか。単に「アイデアの盗用だ」という表現ではなぜいけなかったのか。また、クレームによって何を求めていたのかもわかりませんが、サービス停止という形に至ったことは岡田氏にとっても意外だったのかもしれません。

イザにも掲載されていますが、岡田氏の釈明がブログに掲載されています (レコーディング・ダイエットのススメ: 賢明なブログ読者の皆様へ) 。問題となったダイエット本自体が、他の書籍の盗用である疑惑も出ており、さらに混乱していきそうです。

結局、誰も幸せになれなかったわけですが、今の日本はこういうことが多いのでしょうね。監視社会というか、足の引っ張り合いに終始する社会になって、みんなが同じように不幸になっているのだと思います。何もしないことがいちばんよいことなのでは、社会も経済も停滞してしまうのですが、残念なことにその方向にまっしぐらですね。

2007年10月27日 (土)

青空文庫、著作権切れ作品をDVDにして図書館に寄贈

試みは評価できますが、DVDでの寄贈は利用者に使いよい形になっているのでしょうか。その点も考えてみたいと思います。

ネットでは形が残りませんから、DVDという媒体に情報を収め、図書館で利用できるようにするというのはよい方法だと思います。青空文庫としても自分たちの仕事が形になりますし、受け入れる図書館側も、DVDであれば貸し出しなどの処理がやりやすいですから。

ただ、いくつか問題もありそうです。6500作品を1枚のDVDに収め、1つの図書館に1枚ずつ寄贈するという形を取っているので、DVDに収録されているある作品を読みたいが、別の作品を読みたいために貸し出された状態になっている、という状況が起こります。一般の短編集でも同じことが起こりますが、今回の場合は作品数が6500ですから、その可能性が非常に高くなります。それでも、やらないよりは、やってくれたほうがよいわけですが。

小冊子のほうでは、著作権の保護期間を延長する動きに反対する姿勢も明確にしているとのことです。青空文庫は、著作権が切れた作品のみを取り上げているので、保護期間の延長はそのまま自分たちの死活問題にもなりかねず、切実ではあります。ただ、権利が永久に切れないというわけではないですし、保護期間内でも許諾を取るなどして収録することはできるわけですから、法律が変わっても何とかやっていけるのではないかと思うわけです。というか、現状でも著作権管理者にコンタクトを取って、保護期間内でも青空文庫に収録させてもらえるように動くべきなのではないでしょうか。

もっと広い話にしますと、絶版になり入手できなくなった作品は多数あります。当然ながら著作権の問題があるわけですが、こういった作品を有償でもよいので入手する方法、あるいは、作品の存在を確認する方法を提供する仕組みがほしいと思います。青空文庫の問題だけではなく、もっと広く、国内全体の問題として取り組んでほしいものです。

2007年10月26日 (金)

ネットの有害情報、9割が規制を求める

もちろん、野放しにはできないと思いますが、何をどこまで規制するか、が重要でしょう。

内閣府の世論調査による結果で、これを受けて法体制の取り組みにかかるのだろうと思われます。現状があまりにも野放し過ぎで、規制自体はやむを得ない部分もありますが、規制のための規制になるのは勘弁してほしいですね。

児童ポルノのほうでは、イラストも対象にすべしという意見が多数を占めています。ただ、これで児童への性犯罪がなくせるとは思えないし、むしろ逆効果になる可能性もないとはいえません。性癖や性欲までは規制できませんから、これまで漫画やイラストで処理できていた性欲のはけ口が、実際の子供に向かってしまう……というのは考えすぎでしょうか (もちろん、自分のことではありません) 。

ネットの有害情報は、猥褻なものにとどまらず、犯罪や自殺を誘発するようなサイトも含めての質問だったようです。もちろん、現状でも全く取り締まりがなされていないわけではなく、既存の法律の解釈でネット上にも規制がかかっているのですが、ネット社会にあった規制のあり方が求められているということなのでしょう。とはいうものの、有効な対策をとらなければ、ネットの利便性を削ぐことにもなりかねませんし、規制が規制として意味を持たないのも避けなければなりません。

個人的には、規制がかかることにそれほど不安視はしていません。こういったブログで意見表明ができなくなるようであれば大問題ですが、そこまでの規制は、現代の日本ではかけられないでしょう。少しでも規制がなされると、なし崩し的に規制が強められ、国の方針に反対する意見が言えなくなるような社会が来ることを危惧している人もいるようですが、当局もそこまで馬鹿ではないでしょう。かつて、国民への規制を最大限に強めた結果、太平洋戦争に突っ走るのを誰も止められず、結果的に敗戦と甚大な被害を被ったことは、(戦争そのものの悲惨さももちろんですが) 忘れてはならないことです。

2007年10月19日 (金)

「MiAU」設立は消費者のためにならない

この人たちは先進過ぎて、一般の消費者の声を代弁することはないでしょう (ばっさり) 。

著作権法を改正し、違法となる範囲を広げることについては自分も懐疑的です。ですが、津田氏や小寺氏といった急進的な反対派が代表となって団体を作ってしまったら、政府との対立が先鋭的になるだけではないですか。

報道されている範囲だけでも明らかなように、今回の著作権法改正に反対するのは活動のひとつに過ぎず、これからも継続して「ネットユーザーの利害を代表する」活動を続けていきます。ということで、彼ら先進的な人たちの都合のよいようにネットユーザーの意見がねじ曲げられ、権力と対立する構図が作られてしまいました。各報道への利用者のコメントやトラックバックを読むと、期待している向きも多いようですが、絶対にだまされます。

著作権法改正の1件だけを考えても明らかなのですが、強く反対している国民はごく一部で、さらにその一部が扇動する形で反対運動が起こっています。自分も消極的に反対なのですが、ここまで急進的に動かれると、逆に引いてしまいます。世論を盛り上げるつもりでやっているのなら、逆効果になっていることに気づいてほしいところです。

ユーザーのためとかいっていますが、結局は自分たちのためでしょう。代弁するとかいっていますが、結局は「あなたたちの意見はこうあるべきだ」と押しつけるだけでしょう。国のやり方にもついて行けないところはありますが、MiAUのやり方には、なおさらついて行けません。

2007年10月17日 (水)

YouTubeの新ツールで著作権問題は解決するのか?

ツール自体は日本や米国などの著作権団体から要望されていたもの。これでYouTubeの著作権問題は解決するのでしょうか。

これまでより高精度で、著作権侵害とされる動画を発見することができるようになりますが、完全な解決に至るにはまだまだいくつもの関門がありそうです。それでも、何もしないよりはマシだということでしょう。

著作権管理団体側が望むとされる、独自コンテンツだけの公開は、機械的な判定だけでは無理でしょう。誰かがアップデートするごとに、人海戦術で問題のないコンテンツかどうかを判定していくのなら不可能ではありませんが、コストがかかりすぎます。管理団体側がそのチェックをすべて行ってくれるのならよいのですが、そこはサービス提供側がやるべきだと考えているようですし。

結局はいたちごっこなんですよね。人力でも自動化でも、管理側や運営側が新たなツールや方法を編み出せば、その網をくぐって違法コンテンツを公開しようとする動きが強まりますし、コンテンツそのものの違法性よりも、そのあたりのせめぎ合いを楽しんでいるユーザーも少なくないことでしょう (運営側にとっては頭が痛い話ですが) 。たとえ著作権上はすべてが適法となったとしても、今度はそれ以外の違法コンテンツ (わいせつ物、死体、犯罪行為の映像など) が上がるでしょうし、結局は何かを取り締まらなければならないわけです。

著作権問題は解決されなければなりませんが、違法に公開されるコンテンツを作ったということは、それだけ受け入れられているおもしろいコンテンツだったのだと考えるくらいに、権利団体側の頭が柔らかくなってくれればよいのですが。まあ、こうやって認めてしまうと際限がつかなくなりますし、無理でしょうけどね。

2007年10月15日 (月)

著作権の延長は「毒入りのケーキ」

政治の上での議論だけではなく、効果をきちんと研究してくれているのには頭が下がります。経済学的には、保護期間延長による効果は否定的のようです。

書籍に関していうと、著作者の死後に著作が出版されるのは全体の半数に過ぎず、また上位5パーセントの著作者の出版物が75パーセントを占める状況にあるそうです。また、保護期間が50年から70年に延長されても、著作者の収入は1~2パーセント増える程度にしかならないという結果も出ました。延長を支持する根拠のひとつが覆ったことにもなりそうですね。

すべての著作物を一緒くたに扱うから、問題が難しくなるのかなと思う部分もあります。商業的な著作物 (利用者から直接対価を取るもの) と、それ以外の著作物に分けて、後者については公開時点でパブリックドメインにするくらいでもよいのかもしれないと思いました。この分類だと、テレビ番組やウェブサイトは後者に当たりますので、そうとう大胆な改革になってしまいますが、それくらい思い切ってほしいと思っています。

著作権は、文化の発展と著作者の保護を両立させる目的で作られたものですが、現状では文化の発展がないがしろになりつつあります。そういう意味では、著作者の保護を逆にゆるめる方向に動くべきなのでしょうが、一度得た権利は離したくないのが世の常。しばらくは議論が続きそうですし、保護期間が延長される可能性のほうが強そうです。

もっとも、そうなったところで、事実上は何も変わらないのでしょうけど。死後50年でも70年でも、そんな古い著作物を見る人はごく一部でしょうし、昨日放送されたテレビ番組をインターネットに上げるのが権利侵害だというのは変わりませんから。

2007年9月29日 (土)

Creative Commonsが東京でセミナー開催、Wikipedia創設者も登場

9月27日に開催された「第6回CCJPセミナー」。回数を重ねているせいか、ニュースでの反応が鈍い……。

ネット上でのレポートがほとんど見つけられず、一番下のリンクが見つかった唯一のもの。個人のブログもほとんど出ていないようです。

今回のセミナーが目にとまったのは、ジミー・ウェールズ氏 (Wikipediaの創設者) が弁士として参加するというところ。それだけに、ウェールズ氏がどういったことを話したのかが気になるのですが、何も報道されていないようです。

クリエイティブ・コモンズ」は日本ではまだなじみがないと思いますが、著作物の利用許諾の一形態となります。自分の理解では、一定の条件 (著作者の表示など) での利用許諾を明示しておき、その条件に従う限り自由に利用できるというものです (自分の理解では不安なのでウィキペディアにリンクしておきます) 。ウィキペディアはGFDLという別のライセンス形態を用いていますが、掲載する画像の一部はGFDLとクリエイティブ・コモンズのマルチライセンスとなっています。

かつてのように著作物を作る人と使う人が分かれていた時代から、誰でも著作物を作れ、広く公開できる時代に変わりました。いま、著作権のあり方はデジタルコピーでの不正複製の防止という観点から議論されることが多いのですが、誰でも公開できるという観点からも議論を進めてほしいと思います。誰でも自分の著作物を広く公開できるのであれば、どのような公開の仕方が考えられ、望ましいのか、まだ明確な答えは出ていないと思います。

そのあたり、クリエイティブ・コモンズやフリーソフトウェア財団 (GFDLを制定しているところ) と著作権団体とはほとんど交渉できておらず、独自に考えている状況にあるように感じます。このままだと困るのは私たち利用者であり、私たち市井の著作権者であるので、早く対策を講じてほしいと思いました。

2007年8月14日 (火)

子供の「違法ダウンロード」の認識

違法と理解しているぶん、私たちの子供のときよりも進んだのではないかと思いましたが。

25年前、自分が小学生のときですが、遠足のしおりに流行歌の歌詞をコピーしてバスの中で歌えるようにしたり、レンタルレコードをダビングして友達に貸したり、といったことは、日常的にあったような気がします。それが違法だとどれだけ認識していたかというと、悪いことだとは思っていなかったのではないでしょうか。

そこから考えると、違法性を認識しているのですから、現在の子供たちのほうが賢くなったのではないかと思うのです。デジタルデータとしてのコンテンツが現れてきたし、学校を含め社会の取り組みが真剣になってきましたから、それらの変化を加味して考えるべきでしょうが、事態は悪化しているとは必ずしも思いません。次の世代になれば、違法ダウンロードは窃盗と同じだという認識になり、大人がこそこそやっているのを子供が見つけて糾弾する、という形になるのでは、というのは楽観的すぎるでしょうか。

今回の調査は欧州のもので、欧州では「親や先生が見ていなくても、神様が見ている」国が多いですから、「神様なんていない、自分さえよければそれでよい」という日本とは様相が異なることが考えられます。日本の場合は、「誰々が悪いことをしてます」と告げ口する文化ですから、他人の目を気にして違法ダウンロードはなくなってくる、ということになるのでしょうか。これはこれで、複雑な気分ですが。

2007年8月 5日 (日)

YouTubeの違法コンテンツ問題、今後の展開を予測

これに関しては、YouTubeの失策というか、権利侵害と人気上昇を天秤にかけて後者を取った部分が指摘されているのだと思います。

協議は物別れの状態で、権利者側 (JASRACやテレビ局など) は著作権侵害を行った日本発のコンテンツをすべて削除すべし、といった強硬策も提案しているようです。

今後の展開としては、YouTube側がこの条件を飲む可能性もあります。技術的に可能な線としては、日本からのコンテンツを著作権侵害の有無にかかわらずすべて削除、その後問題のないコンテンツを (ユーザーからの求めに応じるなどの形で) 復帰させるようなことはあるかと思います。ただ、適法なコンテンツを投稿したユーザーには負担をしいてしまいますね。

あるいはYouTube側が一切をはねつけることも考えられるかもしれません。この場合は、権利者側が法的手段 (刑事事件として親告、あるいはYouTubeを告訴) に訴えることもあり、泥沼化に陥る可能性もあります。ただし、司法の手にゆだねることで、この問題がきちんとした形で解決することも期待できるのかもしれません。

ただ、本質的には、権利団体もYouTubeも直接の当事者ではないんですよね。そのことが問題をこじらせているのだと思います。本来の著作権者 (作詞・作曲者や映像の制作者) と、コンテンツを違法にアップロードしたユーザーの間の問題であるものの、著作権者と侵害者との間の交渉が実質的に不可能であるため、わかりにくい議論になっています。権利団体は権利者の意向を聞くことはできるものの、YouTubeはユーザーを特定することはできませんから、権利者寄りの解決策が出てくるのかもしれません。

今後は、音楽やアニメなどの著作物が、ネット配信も含めて広く利用できるようになるとは思いますが、ネット配信での収益の配分方法を含め、広い議論が必要になるのでしょう。コンテンツを楽しみたいユーザーが多数いることを忘れないで、粘り強い議論をお願いしたいところです。

2007年8月 3日 (金)

休刊が続くPC・IT雑誌、ついに「ネットランナー」も

読んだことがないので自分の視点での評価ができないのですが、悪名高い雑誌でしたね。

ここ数年、PC・IT系の雑誌がどんどん休刊になっています。今回の報道がスラッシュドットに掲載されたのですが、関連ストーリーとして、過去に取り上げられた休刊の記事が8つもありました (うち1つは月刊少年ジャンプだったりしますが) 。ほとんどの情報がウェブで掲載され、紙媒体でコストをかけて出版する必要性も必然性も薄れてきているのが現実のようです。とくにIT系ではその傾向が顕著なのでしょう。

そして「ネットランナー」。他人の評価を総合すると、winnyが大好きで、といっても技術的なことに興味はなくて、ウェブ上に流れるコンテンツをどうやって収集するかの情報を、多く掲載していたようです。コンテンツ自身、そしてその収集方法も、著作権などを侵害する違法なものがあった、というか多かった、というかほとんどがそうだったのではないかと思われます。

ネット社会に与えた影響は大きかったと思います。「著作物」という概念が崩れ、テレビで放送されたり、ネットにアップロードされたりしたコンテンツのうち、「無料で利用できる」ことが「自由に複製できる」ことと混同されてしまうようになりました。自分の知る範囲でも、ウィキペディアに他サイトの記述を丸写しするのが後を絶たなかったり、YouTubeにテレビ放送を録画したものをそのままアップロードしたり、そういった著作権侵害行為が目立つようになってきました。winnyやネットランナーだけの責任ではないでしょうが、彼らが著作権を軽んじる風潮を与えたのは、否定できないでしょう。

「ネットランナー」の休刊は、一つの時代の区切りになるだろうと思います。ゆるみきった著作権意識のネジを締め直し、コンテンツがきちんと扱われる状態に戻ることを、切に希望します。

2007年7月25日 (水)

ヤフー動画、著作権料の支払いでJASRACと契約

なぜ徴収されるのか判然としないだけに不満もあるでしょうが、悪い話ではないと思いました。

JASRACが著作権を管理する著作物をネット上で公開するのは、契約方法や著作権使用料が定まっていないため、事実上合法的に公開することはできませんでした。それをきちんと契約することで、合法的な楽曲利用に道を開くことになるわけです。

ネットでのいろいろな主張を見ていると、JASRACに反感を持つ人も少なくないようです。徴収される理由も合理的と思えない部分がありますし、著作権料が払われる先が著作権者ではなくて管理団体であるJASRACだというところにも、不透明感があるのだろうと思います。

著作権使用料はすべて著作権者に行くようにして、JASRACの収益は著作権者からの登録料や管理費でまかなうような仕組みのほうが、利用者としてはわかりやすいのではないかと思いました。内部のことまではわかりませんが、こういう仕組みに変えてもうまくいきそうな気がしますし、実際にはすでにそうなっているのかもしれません (そうであれば、JASRACの公報不足ということになりますが) 。

ともかく、ネット上での合法的な著作物の利用に道が開けています。テレビ番組も、動画共有サイトに投稿されるものは、現時点ではほぼすべてが違法なのですが、一定の手続きを取ることによって合法化できればと思います。番組として一度放送したらそれで終わりなのではなくて、ネット上に蓄積することで何年か後にも、あるいは放送されなかった地域でも見られるようにすることが、望まれているのではないでしょうか。

2007年7月 6日 (金)

ネットの情報を盗用するマスメディア

マスメディアの人間は、自分の仕事に責任と誇りを持ってほしいです。ぶっちゃけ、素人の文章をパクるなっての。

まずはこっち。ウィキペディアの記述を静岡新聞が盗用。

そしてこれも。トレンド情報サイトの記述をFM東京の文字放送が盗用。

静岡新聞は1面のコラム (天声人語などのある位置) のもののようで、影響は大きそうです。また、FM東京は115回の放送のうち106回ということですから、常態化した悪質なものといえます。

マスメディアの報道をネットが盗用するのも、本来許されないものです (このブログは……、リンクだけだから許してほしいし、そもそも「盗用」ではないと思っています) 。このあたりの感覚が鈍くなった人が多く、ニュース系のブログでも、ひどいものでは記事をまるごと転記して感想は2~3行、というのも出てきています。ブログなら、リンクやトラックバックが使えるのだから、コピペで無駄に容量を増やすうえに、危ない橋を渡ることもないだろうと思うのです。

メディア側も、情報を得る際の判断が適切さを欠いていると思う部分があります。ウィキペディアの信頼度がどの程度のものか考えれば、少なくともプロの物書きが無批判に受け入れられるようなものではないといえます。ネットとは関係ありませんが、他紙では社説を盗用したという報道も過去にあり、不適切な判断というだけではなく、悪いとわかっていてもやってしまう、やらざるを得ないという状況も出ているのかもしれません。

少なくとも日本では、プロ (作家という意味ではなく、書くことで生計を立てている人すべて) もアマチュアも、物書きの能力が落ちてきたような気がします。理由としては、ペンがワープロに変わったから、というのは違うと思いますが (書く時間が短くなるのだから、そのぶん考える時間が増えるはず) 、情報を吟味しないでコピーですませられてしまうことと、そのために情報収集や精査がおざなりになっているのだろうという気はします。

あと、国語力が落ちてきたというのもあるのかもしれません。若い世代が目にする文字は、堅い書籍や新聞の文章から、力の抜けたネットや漫画の文章に変わってきており、力の抜けた文章しか目にしなければそれが標準だと思ってしまうところはあるでしょう。堅い文章を噛み砕く力をつけておかないと、将来自分が堅い文章を書くべきときに困ると思うんだけど。

2007年7月 2日 (月)

GPLv3が正式にリリースされ、FSFはiPhoneを批判

一連の議論を見ていると、フリーソフトウェア財団 (FSF) が「イタイ人」に見えてきました……。

フリーソフトウェアの考え方は、もっと大らかなものだと思っていたのですが、フリーソフトウェアを「自由」に使うための「制限」が異常に厳しくなっているように感じられます。

FSFの最初の矛先はアップルに向かっています。アップルはMacOSなど、フリーソフトウェアを使った製品を作っており、同日 (6月29日) に発表されたiPhoneもフリーソフトウェアを組み込んだ製品となっているといわれています。FSFの主張では、iPhoneに組み込まれたソフトをアップデートすることが、アップルだけにしかできないのであれば、iPhoneでGPLv3のソフトを配布できないということです。

自分がプロプラの世界にいることもあるのですが、GPLは危険なライセンスだという認識です。というのも、GPLとプロプラは基本的に共存できず、プロプラのコードとGPLのコードが混在した場合、プログラム全体がGPLの求めに従ってコードを公開する義務が生じます。そして今回の改正では、GPLのコードを利用したプログラムを、独占的に改修する権利は作者にさえ与えられない、となっています。乱暴な言い方になりますが、GPLのコードを書いた作者は、工数のみ提供し、いかなる見返りも与えられないようになっています。

開発者の視点でいうと、GPLを選ぶ権利も選ばない権利もあるし、両者は同等に尊重されなければならないと考えています。FSFの中の人は、すべてのプログラムがGPLとなることを理想としているのかもしれませんが、そうであれば片方の権利を無視する形になっています。現時点で間違いなくいえることは、GPLが他のライセンスを侵略する権利はないにもかかわらず、FSFは侵略を試みている、ということでしょう。

2007年7月 1日 (日)

国会図書館が大正時代発行の資料をネット上に公開

著作権切れになったものとはいえ、無償公開の上、遠隔地でも見られるようになったのは英断です。

すでに明治時代のものの一部はデジタル化され、公開されていますが、7月3日に大正時代のものも加わります。これでネット公開された資料は14万3000冊となり、地方の図書館の蔵書数なみとなっています。

歴史などの研究者 (私自身も、将棋の歴史を調べたことがあります) にとっては、重要な資料となるでしょう。そうでなくとも、古い資料に興味のある人にとっては、好奇心をかき立てられるものとなります。

江戸時代までの版本は活字も草書体で、訓練を積まないと読めないですし、手書きのものは筆での続け字なのでなおさらなのですが、明治以降の資料は楷書の活字ですので、文体が硬い (というか文語体です) のを除けば読み取るのは難しくないでしょう。みなさんも、約100年前の時代に戻った気分で、当時の資料を調べてみてはいかがでしょうか。

2007年6月21日 (木)

若い世代の著作権意識が高いのか――YouTubeなどの意識調査より

若い世代が高いというより、上の世代が「知らない」だけじゃないですか、これ。

YouTubeにほぼ限定した「インターネット動画サイトの利用実態調査」ですが、YouTubeの認知度は72パーセント、利用 (閲覧) 経験は49パーセントということになっています。当然ながら、若年層ほど数値は高くなり、15~19歳では男性の90パーセント、女性の81パーセントが利用しているということです。

そして、各サイトが取り上げている著作権侵害の認識ですが、たしかに若年層ほど「侵害しているものがある」と答えた割合は高くなっていますし、テレビ番組や音楽ビデオなどの著作物をそのまま投稿している例があり、侵害しているものがあると答えるのが自然でしょう。

で、若年層のほうが意識が高いと考えてよいのかどうか。「侵害していないと思う」と答えた割合のほうを見てみると、世代間でそれほど大きな差がないものの、10代から30代の男性が他と比べて高い割合になっています。これは結局、若い世代のほうが意識が低いのかもしれません。ちなみに、「わからない」という選択肢が、年代が上がるほどどんどん高くなっており、回答を保留する人が多くなります。おそらく本当に知らないのだろうと思いますが、「侵害している」と答えたくないのでわからないことにした人もいるかもしれない、と勘ぐっておきます。

自分が無償で入手したものには著作権はないとか、文学や芸術の作品だけが著作権を持つとか、思っている人は、世代を問わずいるように思います。私はPCのソフトウェア開発で生計を立てています (ソフトウェアメーカー勤務)が、ソフトの著作権も長い間侵害され続け、外国では海賊版の存在が問題になっています。そういうことを考えると、まだまだ著作権の啓蒙活動は続けていかないといけないでしょうし、みんなが著作権を尊重することで初めて、著作物をもっと自由に利用できるようになるのではないでしょうか。

2007年6月19日 (火)

クリエーターと2次創作と著作権

簡単には結論が出ない難しい問題。誰のために何をなすべきなのか。

慶応大学で行われたパネルディスカッション「第3回公開トーク『コミケ、2ちゃんねる、はてなセリフと作家と著作権』」より。

かつての著作物は、作る側と使う側に明確に二分されていたので考えやすかったですし、著作権を巡る争いといっても盗作や無断使用など、典型的なものばかりでした。それがWeb2.0の時代となり、使う側が作るようになってきたため、従来の枠組みの中では議論できなくなってきた部分が出てきたという感じです。

コミケでは、商業作品にパロディを加え、新たな作品とすることが多く見られます。パロディ作品も、オリジナルの世界観を尊重して、その世界を広げる形で作られるものなら問題は少ないと思いますが、キャラだけ借りて不適切な行動を取らせるとか、そういうパロディもありますから、原著作者がいい顔をしないのもうなずけます。どういうパロディが許されてどれなら許されないか、というのは、著作権とは離れてくると思いますが、著作権以外の部分でも判断基準があってしかるべきだと思います。

ニコニコ動画などの2次創作は、やり方としてはおもしろいものになるのですが、やはりオリジナルを尊重しておらず、笑いものにする傾向が見られると思います。ある程度は大目に見ないと新しい作品は生まれないし、既存の価値観への反抗から新しい価値観が生まれることも少なくないですから、(先のコミケも含めて) 許容範囲は広めに取っておくべきなのかもしれません。

YouTubeは、自分も利用者だからあまり大きなことはいえないのですが、本質的にはダメでしょうね。ただ、違法に入手しないと見られなくなったテレビ番組も多く、テレビ局側が過去の番組を自由に見られるようにしてくれないかな、と思うところも多いです。著作権以外の部分 (出演者の契約や肖像権など) で難しいのだと思いますが……。

簡単には結論が出ないと思います。ひとたび自由な利用を認めてしまうとなし崩し的になってしまって、著作権の概念自体が崩壊する危険性もあります。著作権を一切認めない社会というのも危なっかしいですから (中国がそれに近くなりつつありますが) 、何らかの歯止めが必要なのは間違いないでしょう。ただ、利用者の著作権意識の希薄さが気になるところで、無料で見られるもの (テレビ番組やウェブサイトなど) に著作権があると思っていない人も少なくなさそうです。そのあたりの教育というか、意識改革を行っていかないと、どんどん望まない方向に進んでしまいそうです。

2007年6月15日 (金)

放送と通信が法律レベルで統合?

楽天 (通信) とTBS (放送) の統合は泥沼化しそうですが、こちらはうまくいきそうですね。

現在、関連する法律が9つあり、時代の要請に応えるためにも一本化が検討されていました。平成23年度 (4年後です) には「情報通信法」(仮称) を制定し、法体系レベルで通信と放送を融合させるということになります。インターネットラジオなど、すでに通信と放送の境目が曖昧になっている事例もあり、両者を統合することで放送も通信も新たな成長が見込まれるのではないでしょうか。

おそらく、放送局のほうが困っているのではないかと思います。2011年にはテレビの地上波が完全にデジタル化し、双方向視聴やデータ放送などの新たな取り組みが必須になります。その上で法体系が変更され、通信分野からも強力なライバルが誕生するとあっては、死活問題に直結するところも少なくないでしょう。東京のキー局は何とかなっても、地方のネット局は経営体力が弱いところも多く、倒産や停波するところが出てくるだろうと思われます。

でも、それでもいいのかもしれません。テレビのデジタル化と通信との融合で、すべての番組が日本のどこにいてもオンデマンドで見られる仕組みが整うかもしれませんし、そうなったほうが視聴者にとっても有益でしょう。地方の情報は、その地方に1局テレビ局があれば十分まかなえるでしょうし、テレビ局のライバルとしてインターネットを位置づければ、独占にもならないでしょう。

放送関係者には申し訳ないのですが、業界全体のリストラが必要ですし、2011年はその元年になるのではないかと思いました。

2007年6月 5日 (火)

著作物の「私的使用のための複製」はどうなるのか

INTERNET Watchが著作権分科会の動きをずっと追っていたのですが、「黒船」アップルが動き出して事態は混迷。

まず、補償金制度がなぜ作られたかというと、デジタルコピーが行えるようになり、オリジナルと同じ品質のコピーが大量に作られるようになった、といういきさつがあります。そのため、制度ができたのは意外と新しく、1992年 (15年前) 。MD、CDあるいはDVDなどの機器とメディアに課金されていますが、今回その範囲を広げ、iPodやPCなどにも録音・録画できるのだから補償金を取るべし、という議論になっています。

個人的には、委員会での議論に興味を持っています。「私的使用のためでも、複製は一切認めるべきではない」という意見も出ており、それもまた極論ではないかと思うわけです。複製禁止とはいっても、録音・録画は認め、そこから他のメディアには移させないということですね。複製禁止になると困る人は多そうですが、そこまで強硬な意見が出てくるほど、デジタルコピーによる権利侵害が無視できない状態になっているということなのだと理解しています。

利用者側の意見はどうか。たまたまアップルが自分たちの都合のいい意見を出してくれたので、それにのっかっている部分はありますが、基本的には「無料で自由に複製させろ」という、要するにわがままなのでしょう。その部分は除いたとして、著作権者には必要な金額を支払うが、他人の著作物を右から左に動かすだけで金を取る行為 (権利団体) は許したくない、というところもあると思います。

不可能なのを承知で提言をさせてもらうと、著作権管理団体はなくして、著作権者と利用者との間で直接、著作物使用料をやりとりする形が望ましいでしょう。補償金という形ではなく、実際に複製物を作成したときに使用料が発生する形になれば、不公平感もなくなるのではないかと思います。こういう煩雑な制度では運用が難しいので、たとえば最初から「複製が行われる前提で著作物使用料を上乗せしてコンテンツを販売する、そのかわり複製は自由」「著作物使用料は一切発生しないが、複製は認めない」という2通り (ないしはそれ以上) の売り方を提示して、利用者が自分の使い方にあったものを選ぶ、というのは考えられるのではないでしょうか。

2007年6月 4日 (月)

日本政府の知的財産推進計画、異論も多いが……

著作権侵害の非親告罪化やネット配信の簡素化などが大きな柱となっていますが、批判も多いようです。

とくに利用者の側からの批判が強いようですが、これはやむを得ないのかもしれません。いままで自由に使えていたものが制限されるようになる部分も出てきますし、何よりも「国=権力者のやること」だから反対、というのもあるでしょう。

中身はきちんと読めていませんが、こと著作権については、それほど不安視することはないだろうと思っています。少なくとも、文化の発展の方向を制御しようという意図は感じられませんし、たとえそういう意図があったとしても、政府の意向どおりになることはまず考えられないでしょう。違法コンテンツをP2Pなどでダウンロードすることも明確に禁じられる (私的使用の範囲から除外する) ようですが、これも法体系が追いついていなかったところへの対処ですから、反対するとしても理由がこじつけ気味になってしまうような気がします。

そのほか、評価できるのは、TV番組のネット配信について明文化するところです。法律を定めるのは、いままで許されていたことが禁止されるばかりではない、という例ですね。この部分については法律が追いついておらず、TV番組をネット配信するのは事実上不可能だったのですが、手続きを簡素化することでネット配信を容易にする方針とのこと。これでネット配信が増えてくるものと思われますし、何十年も前の懐かしい番組が現代によみがえるようになればうれしいですね。

気になるのは著作権侵害を非親告罪にするという動きです。海賊版対策で、著作権者の告訴がなくとも取り締まりができるようにということのようですが、ボーダーライン部分がどのように扱われるのかが気になります。たとえば同人誌などのパロディ漫画ですが、原作者の黙認状態でなんとなく続けてこられたという部分もあるだろうと思います。問題のあり方を曖昧にしておくことで同人誌文化が発展してきた部分もあるでしょうが、ここがきちっと取り締まられる可能性が出てくるとすれば、発展の方向は変わってくるかもしれません。もっとも、原作者の承諾を取ればいい話なので、そういう方向に行くのだろうと思いますが……。

2007年5月15日 (火)

違法着うたで初の逮捕者

こういう事件は増えていくのでしょうね。著作権の保護とか、どう考えているのでしょうか。

JASRACの著作権管理が著作者 (歌手など) のためでも利用者のためでもなく、JASRAC自身のために管理しているのではないか、とか、大手レコード会社がどうたらこうたら、とか、いろいろな批判は耳にします。ただ、今回の事件に関していうと、そういった批判がどうあれ、許されるものではないだろうと考えずにはいられません。

自分の勤め先はプロプラエタリのソフトウェア会社で、自分はプログラム開発で給料をもらっているので、音楽やプログラムといった「形のないもの」の著作権には敏感になります。とくに昨今はダウンロード販売などで、CDなどに固定された以外の形態で流通することも多くなっており、なおさら著作権意識が希薄になっているように思います。

今回の事件でも、容疑者はそれほど罪の意識を持っていなかったのかもしれません。もしかしたら自分が「権力と戦う正義の勇者」なのだと認識していたのではないかとも思います。

でも、作り手の側からすると、多くの人に使ってほしいという気持ちはありますが、こういう違法な使われ方はされてほしくないですね。私の気持ちでは、自分や勤め先にお金を払ってほしい、というわけではなく (全くないわけではありませんが) 、正しく入手したもので正しく使ってほしい、ということです。私の場合はプログラムですが、音楽でも同じことだろうと思います。

音楽はテレビや有線放送などで無料で聴ける環境があり、ソフトウェアはフリーウェアという概念が勢力を持っています。そういう意味では、音楽やソフトウェアで対価を要求することは正しい考え方ではない、という主張もあるかと思います。とはいえ、ソフトがすべて無償になったら自分は何で稼げばいいのか、あるいはソフトウェア業界が協奏の中で成長してきたという事実をどのように評価するのか、いろいろと聞きたいことはあります。フリーウェアという考え方は認めるものの、有償のものがあってこそのフリーウェアだと思いますし、有償のものでもフリーのものでも、正しく使ってほしいと思いました。

2007年4月13日 (金)

著作権保護期間は延長すべきか?

現在、日本では映画 (70年) を除いて50年。これを世界的な趨勢にあわせて、すべて70年にしようという動きが出ています。

大前提として、著作権が保護されることのメリットは、「自分が作った」ものに対して、使い方や見せ方を自分ですべて決める権利が与えられること。これによって他の人は著作者の意見を尊重する必要が発生し、著作者の創作意欲にもつながります。

デメリットは、ある人が作ったものを、他の人が自由に使えなくなること。古くは和歌の本歌取りや、近年ではパロディやパスティーシュなど、他の人の作品を元にした新たな作品を生む土壌をつぶすことにもなります。ということで、両者のバランスをどこに求めるか、という議論になるわけですが、著作権の権利保護期間とリンクしてしまっているんですね。

自分はソフトウェア開発に携わっているため、業務で著作物 (ソフトウェア) を作っていることになります。その反面、いろいろな著作物を利用しているところもあるわけで、著作者と利用者の両方の部分を持ちます (これ、誰でもそうですね) 。利用者としては再利用をしやすくするようにしてほしいわけですが、いざ自分が利用される側となったときに、どんな使い方でも文句を言えないような状況であれば、困るかもしれません。

さて、どうすればよいか。個人的な意見を言わせてもらえれば、利用者から直接対価を取る著作物に関しては、権利者の許諾がない限り複製禁止。無償で公開されているものについては、無償で提供するものについては著作権の侵害とならないとしてよいのではないかと思います。期間は対価を取っている限り無期限でよいでしょう。

あまりしっかり考えているわけではないので矛盾点や致命的な問題はあると思いますが、無料で見られるものを、なぜ他の人に見せていけないのか、という根本的な疑問に答える形になるだろうと思います。

2007年4月 5日 (木)

AFP通信がブログに写真を提供

自社サービスの宣伝……になるのかなあ? 利用者としても楽しみですが。

AFPが提供した写真や文章などを、ブログに取り込むことができるようになっています。写真は著作権処理 (電子透かし) が施されており、適切にブログで利用することは認められていますが、認められた範囲を超える利用は、AFP側からも把握できるようになっているようです。

AFPはIT関連のニュースに特化しているわけではないので、このブログに使うのは難しいところもありそうです。でも、使える範囲では写真なども入れてみたいですし、ジャストブログでのサービスが始まるのを (1利用者として) 心待ちにしています。

2007年3月31日 (土)

ネット経由での録画番組転送サービスに違法判決・東京地裁

現状では妥当な判決だと思いますが、どこでもどの番組でも見られるようにならないものでしょうか。

自分の住んでいるところでは放送されていない番組を見たい、という要望は必ずあると思います。今回の対象地域は日本国外ということですが、そういったニーズに応えたサービスが、(当然ながら) 放送局の著作権を侵害しているということで訴えられていた裁判です。

でも、こういったサービスはできるようになってほしいし、少なくとも日本国内については、すべての番組がすべての地域で見られるようなシステムを整えるべきだと思います。スポンサーとのかねあいや、出演者の肖像権および契約の問題などがあり、簡単な話ではないのは承知していますが、むしろテレビ局が率先して動き出してほしいくらいです。

このブログではITがらみの考えになってしまうので、かつてのビデオ・オンデマンドに代表されるネット配信が念頭に置かれてしまうと思うのですが、ほかの方法もあるだろうと思います。たとえば、現在の東京キー局である、民放5社がそれぞれの系列局を吸収するなどして、全国どこでも、同じ時間帯に同じ番組が見られることを前提とするような方法も考えられると思います。もちろん、5社とも全県に電波を飛ばすことが大前提ですが……。

できるかどうか、というよりは、地方局の体力を考えると、そうならざるを得ないのではないかとも思います。2011年には地上デジタル放送に完全に切り替わりますが、このあたりがひとつの契機にもなるかもしれません。県単位の放送区域では、視聴者数もスポンサー収入も限られてしまいますし、いずれ大規模な合併が起こることはあり得ない話ではないと思いました。

2007年3月 7日 (水)

マイクロソフト vs グーグル

仁義なき戦い、Part2 (さっき書いたのがソフトバンクとカリヨン証券の記事だったので) 。

出版業界団体でのスピーチということもあり、マイクロソフトがやり玉に挙げたのは、グーグルの書籍検索機能で、書籍の内容の一部を見せていることです。MSも書籍検索機能をもった検索エンジンを持っていますが、MSは著作権の切れたものか、出版社の許諾を得たものだけを表示しているということです。

ユーザーの利便を考えると、1冊でも多くの書籍がヒットしてくれるほうがうれしいとは思いますが、著作者のことを考えると、内容を表示するようなアプローチはどうかと思うところもあります。もちろん、検索結果に含まれることにより、その書籍の売り上げが伸びる部分もあるとは思いますが、「立ち読み」ができてしまう可能性もあるんですよね。

また、グーグルが先日買収した、YouTubeの問題もあります。テレビ番組の無許諾での複製とアップロードが横行している状態で、対策が後手後手に回っている部分も見られます。

当然ながらグーグルは反論。「ユーザーの利便性」と「著作者の権利」、どこで折り合いをつけるかは、もうしばらく時間がかかる議論になりそうです。

2007年2月23日 (金)

YouTube利用者の著作権意識

いや、問題大ありでしょう。

日本の著作権法では、テレビ番組を録画 (複製) する権利は、個人で使用する範囲に限って (30条) 認められていますが、それを不特定多数に公開するのは、どこをどうとっても無理です。それを「問題なし」と回答したのが8割というのは、すごいですね。

もちろん、著作権意識が非常に低い人や、現状の著作権のあり方が間違っていると主張する人も含まれているのでしょうけど、どちらかというと「違法複製の動画がなくなったら自分の楽しみが減って困る」か、「問題があるのなら自分が違法行為をしていると認めることになる」という立場なのではないかと思います。著作権に対する意識はきちんとしていて、その上で後ろめたさを感じながらテレビ番組の複製を見ているのではないかな、というわけです。

テレビ番組などの複製を一律削除する方向もあるとは思いますが、違うアプローチを目指してほしいものです。著作権法を改正して、放送された番組の複製・アップロードは誰でも自由に行えるとするのも考えられますが、実現可能性はゼロ。むしろ、投稿者から著作権者に (金銭的なものを含めた) 補償をする仕組みを整えて、現状の枠内で合法的にテレビ番組などの公開ができるようになればよいのではないかと思いました。